新しい仲間 - 2002年07月31日(水) 椅子ではない、ちょっとした場所に腰かけて 船を待っていた。 いつ船がやってきて、島へいけるのか俺たちは 知らなかった。 時間はいくらでもあった。 少しずつ、人が増え、それをじっと観察していた。 ひとりの小柄な若者がスキーバッグみたいな ものをひきずるようにしてやってきた。 そのバッグは、こんな海辺で行動するにはとても不似合いなもの で、いったいどうしたんだと誰もが疑問に思うようなほどだった。 若者は、一人でその顔はあどけなく少年といってもよかった。 暇な俺たちは、時間をもてあまし、いつのまにか若者と話しをし、 どこへ行くんだとか色んな話になっていた。 そして、バッグの中身はスキューバーダイビングのセット一式 だとわかった。 それは、完全に失敗であっただろう。 しかも、わざわざ西から何十時間もかけてバスでこの港まで やってきていた。 素もぐり専門の俺にはダイビングの魅力が全くわからなかった。 若者は、とても頼りない感じがしたが、とても親しみやすい何かを もっていた。 新しい仲間ができた。 何時間かして船がやってきた。 俺たちは、船に乗り、美しい島で何日かを共にした。 - マシンガン - 2002年07月26日(金) まだ何もわかっていなかったし、 何かを知ってもいなかった。 ただ、若いということだけだった日々。 砂浜をせわしなく歩き時には走り、目はすごい勢いで獲物を 探していた。 どうも、こんにちわ。そこぬけに陽気な声。 そんな一声から始まりマシンガントークが続いていく。 声をかけられた女の子たちは、ポカンとしていたが そのうち笑い出し始めた。そうなればもう何の問題も なかった。友達だ。 だめなときもあった。じっとして何の答えも返ってこない。 険しい目でにらまれることも。 でもそんなことは気にしていないようにしていた。 俺たちの間では、どうせ二度と会うことなんてないんだからさ、 というのがひとつの励ましになっていた。 昼の時間は、砂浜を駆け回って、一番のお気に入りの子を探す のについやされた。 俺たちは、一番気に入った女の子たちのグループを夜の花火へ と誘い出すことに成功した。 少し照れながら、そして、会話をきらしちゃいけないとあせりなが ら皆がしゃべりまくっていた。 夜の砂浜は静かで、ここちのよい風が吹いていた。 空にはものすごい数の星が輝いていた。 次から次に流れ星がながれていった。 俺たちは、何もわかっていなかったし、 何も始まっていなかったが、 嘘はどこにもなかった。 今を生きていた。 - 冒険へ - 2002年07月25日(木) 海岸から少し離れたところに小さな小島があった。 海にぽっかりと浮かぶ小さな島。 緑の木々に覆われ、自然の奇跡が生んだような 不思議な島。 これなら、たいしたことないだろう。 できるさ。 いつのまにか仲間の間ではそんな話になっていた。 俺たちは、何の準備もないまま、島へ泳いでいった。 島のまわりは、がけになっていて、登ることは不可能だった。 この島を一周しよう、泳いで一周しようということになっていた。 泳ぎには自信があった。 ごきげんに世間話をしながら泳いでいった。 そのうち、海は驚くほど深くなった。 底をのぞくと、はっきりとはわからない色んな形をした 岩や植物があり、今にも吸い込まれそうだった。 もちろん足はつかない。恐ろしさから、もう海の底を見るのは やめた。顔をだし、空を見ていた。 やがて1時間がたち、島の裏側へと近づいていた。波は激しくなり、 スタートした陸地は消え、ほんとの自然の海が横たわっていた。 俺たちは急いだ。怖かったからだ。いつのまにか最初の勢いは消えていた。 もう戻ることはできない。 体力はまだあったが、休むことはできない、泳ぎ続けるしかない。 泳いでもほんのわずかづつしか進んでいないようだった。 かなりの時間がたった。 やっと、陸が見えてきた。 最後はどんなだっただろう。覚えていない。 俺たちは、陸にたどりついた。 3時間はたっていただろう。 恐怖感は消え去り、偉大なことをなしとげたという誇りが 心に芽生えていた。 陽気さがもどってきた。 俺たちは晴れやかな気持ちで島をあとにした。 - 自転車とラジカセ - 2002年07月24日(水) ラジカセを自転車の前の籠にいれた。 スイッチをいれた。 フリッパーズギターの曲が 流れ出した。 ペダルをこぎ、曲がりくねった道を坂の 勢いをかりてものすごい勢いで下っていった。 暑い日ざし、太陽はどこまでも追いかけてくる。 日本でもちょっと南にくれば こんなに強い太陽が待っている。 俺たちは、ごきげんで、フリッパーの曲はもう最高で、 誰もしらないだろうけど、こんな最高の曲をお前らも 聴けというくらいのボリュームを上げていた。 坂の向こうに海岸がのぞきはじめた。 胸が高鳴る。 女たちも姿を出し始めた。 ビーチが近い。 ペダルに力をこめる。 風をきる。 海だ。巨大な白い海岸と青い海だ。 走った。走った。 さあ、次の曲はビーチボーイズだ。 - サマーデイズ - 2002年07月23日(火) 夏はいつも暑くて、ただもうそのことだけが 強烈に思い出になる。 そして、暑さのせいで混乱した頭をひきずったままでも 日常は続いていく。 太陽の熱で空間がねじまげられ、 無理やり様々な出来事がむすびつけられていく。 夏の記憶は特別のものになる。 いつか振り返った時思い出すのは、 激しい暑さとともにあったのが特別な日々 だったということだ。 -
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