ライプツィヒから帰ってきて、久しぶりにネットを見ると、 御手洗怜美さんの事件。 小学生の頃って、こんなふうに、ある意味残酷に、友人を言葉で傷つけることを、平気でやる時期だと思う。 それが、ネット上であろうと、なかろうと。
なんていうか、結局は、想像力の、偏りなんだろうな。 自分に向かっての他者からの悪意が少しでもあれば、世の中全部が自分を否定しているような錯覚にまで陥ってしまうのは、わからなくもない話で。 でも、想像力を、自分に関するマイナス方面の想像にばかり、たくましく伸ばしてしまって、 相手を殺したらどうなるのか、相手の痛みはどうなのか、という方面にそのイマジネーションを使わない。使えない。
クラスメートの中には「私も同じことをしてしまうそうだ」とコメントしている子もいるようだ。 一歩間違えれば、どこにでも起こり得る事件。 怖い世の中だ。
でも、一番びっくりしたのは、この事件に関する井上防災担当大臣の発言。 「元気な女性が多くなってきた」などと言ったらしいじゃないですか。 それを読んで、もう、なんだか、暗澹たる気持ちになってしまった。 大臣たるものが、こんな的外れな発言しか出来ないのか。 こんなオトナに引っ張っていってもらう日本の先に、何があるんだ? びっくりした。
まあ、こんな嫌な話ばかりじゃなくて、楽しいお話もしましょう。 突然ですが、蚊に刺されて、薬も何もないとき、その刺されたところをどうしますか? よく、爪で「バッテン」を付けたりしませんでした? 痛みで、痒さが和らぐような気がする、と、×印を刺されたところに付けるのです。(私は、逆に刺された痕が残りそうであまりしないようにしているのですが。) ベルリンに帰ってきていつものスーパーへ買い物へ行ったんです。 オレンジ色の袋のスーパーです。 日用雑貨もたくさん扱っているのですが、 そこの特価製品の一つに、なにやらプラスチックの小さな部品が。 なんだろう?と見てみると。 「蚊に刺された場所に『バッテン』を付ける道具」。 おいおい。 プラスチックの先が、プラスドライバのようになっているのです。それで、患部を押さえる、らしい。値段を忘れてしまったのが残念。 しかし、さすがドイツ。こんなもの売るなよー!!
マグデブルクの演奏会後の打ち上げで飲んだサングリア(赤ワインにレモン・オレンジ・砂糖・シナモンなどをいれたスペインの飲み物。ジンを入れることもある。)を、調子に乗って結構飲んでしまって、お腹がいっぱいで眠れない。 ・・というのを言い訳に、朝寝坊。
立て続けであった本番が終わり、気が抜けたのですね。 マグデブルクからライプツィヒに帰ってきた後、眠れない、と言いつつ、ウダウダとファゴットの友人から借りた、かわぐちかいじの「ジパング」を夜中、8巻から14巻まで一気に読破してしまいました。おもしろかったぜ。 レッスンがあるというのに。あはは。
マグデブルクに一緒に行ったイタリア娘と、スペイン女が、ちょうど私のレッスンが始まる前にやってきて、前日の室内楽の演奏の録音を聴いてほしい、と、私の先生と雑談を始めたので、これ幸い、と、私もその雑談の輪に混じって、レッスン時間を短縮させる事に成功。 うちの先生は、室内楽の演奏会に私も出演していた事を知らなくて、「私も出ていたのよ」と言うと、「そりゃ大変だったなー!!」と、驚き、そして、「じゃあ今日のレッスンはほどほどにしよう」と。 新しい曲をちゃんと用意してなかったので、どっちにしろ今日のレッスンは、レッスンにならないだろうと思っていたのよ。 ラッキー。30分ほど弾いて、おしまい。 来週はお休みなので、「この2週間、レッスンの重圧なしで、キミもストレスなく練習できるだろう」とのお言葉。 ハイハイ、頑張りますよ。
練習室を待っている時に、イギリス人の男の子と話していて、 卒業後、どうするのか、という話になり。 日本に帰るよ、と言うと、「じゃあ、キミはキミの人生を日本で始めるんだね」と言われた。 もちろん、ドイツ語はお互いに母国語じゃないので、ニュアンスは違うとは思うが、でも、面白い言い回しだな、と思う。 いかにも、外国的、というか。 学生時代というのは、完全に『モラトリアム』なんだな、彼にとっては。 つまり、学生している間は、まだ「人生が始まっていない」、ということですか。 なるほどね。 それとも、英語にそんな言い回しがあるのかしら。
マグデブルクでの室内楽コンサート。 総勢13名で、1時間40分、電車に揺られる。
私はどうも、イタリア娘に惹かれるらしい。
行きの電車の中で、私はイタリア人・スペイン人・フィンランド人たち、そして他の二人の日本人たちと大騒ぎしていた。 ラテン系ってのは、また、よっく喋るのだ。 私とほぼ同レベルのドイツ語力にもかかわらず、何であんなに喋れるのだろう? 自分が間違ったドイツ語を話す、という事をなんとも思っていないのだ。 隣に座っていたドイツ人のオバチャンに、「これでドイツ語、合ってる?」と訊いて、なんだか和気あいあいと仲良くなってしまったりしていて。 間違いを恐れて、積極的に話し掛ける事を苦手とする私との、大きな違いだ。
そして、イタリア娘。 彼女達(というのも、今回イタリア娘は一人だけだったが、私にはピサにもう一人大好きなイタリア娘がいるのだ。)は、どうしてあんなに生命力に溢れているんだろう。 表情が豊かで、声が大きくて、一度笑い出すと、涙を流すまで笑う。 イタリア男の茶目っ気ある女性へのアプローチに、ユーモアで応対する。
特に私とピアノが同じ門下である、今回一緒に旅した彼女は、天性の魅力を持っていて、明るくて華やかで、そばにいるだけで楽しくなる子なのだ。 「オー、イクコー!!」と、出会うと、いつも大げさなほどに歓迎してくれる(笑)。 そういえば、イタリア娘とは、なぜか私は、自然と仲良くなってしまう。 どことなく、イタリアの女性と私とは、感性が似ているようだ。もちろん、ドイツ人女性と比べれば、の話だけど。 あけっぴろげな感覚が、ちょっと共通するのかもしれない(笑)。
そんなこんなで、楽しくお喋りしながら、マグデブルクに着き、 楽しく演奏してまいりました。 ところどころミスもしたし、ちょっと鍵盤を叩きすぎて硬い音を出しすぎた感もあったけど、まあ、ここ数日でかなり上達したのではないでしょうか。 お客さんが少なくて、ちょっと寂しかったけど、でも演奏中、気持ちよかったわ。 オーボエ・ファゴットさん、ありがとうー!また一ヵ月後の試験、よろしく。
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