今年12月に、富山の、ある合唱団体と共演をする予定なのですが、その初合わせに行ってきました。(私が帰国しているのに合わせて、日程を組んでくださったのです。) 今日合わせをするのは、小人数のアンサンブルとだとは聞いていたのですが、行ってみると歌のパートがたった5人!! うわー、本当に小人数だ。 しかし、皆さんほとんどが、学校の先生なのです。音楽の先生。 だから、歌もお上手で、これなら5人のアンサンブルも、サマになる、というもの。久しぶりに、私も歌いたくなってしまいました。
とはいうものの、今日の合わせは、私にとってはかなりキツかった。 芸術創造センターという、施設の中の一室を借りて練習したのですが、何やら手違いで、ピアノが無い部屋になってしまって、仕方なくエレクトーンで弾くことになってしまったのです。 け、鍵盤が、二つある・・・。(エレクトーンは、右手で弾く鍵盤と左手で弾く鍵盤とが、上下に分かれているのです。) 音量の調節も、足でしなくてはならないし、ピアノにある、響きを出すための右足のペダルにあたるものが無いので、指だけで繋げなければならない。 エレクトーンなんて、さわったの何年ぶりだろう。小学校以来? いやいや、地元で色々活動するとなると、こういうハプニングにも強くならなくちゃいけないのね。 何でも弾けるように、臨機応変に出来るようにしておかなくちゃいけないんだわ。 ・・・勉強になりました。
富山に帰ってきてから、ほとんどの時間を、私は実家の「ピアノ室」で過ごしているわけですが、さすがに篭もりっぱなしの生活はストレスが溜まるだろう、と思っていたのに、意外とそうでもないんですね。 もちろん朝から晩まで弾きっぱなし、というわけではなく、お昼ご飯食べたり、雑誌をぱらぱらと読んだりもしているんですが。
まあ、でも、これは、身近に家族の気配があるからかな、と思ったりもするのです。 ドイツで、一日中家に篭もってピアノしかしなかったら、どんどん気持ちが滅入っていくことが多いのですが、実家だと、「ちょっと休憩」とピアノ室から出ると、やれ「お茶を飲め」だの「梅干でも食べろ」だの、ヤイヤイ言ってくれる祖母や、先月末に退職してから家の中の雑務に終われて、かえって忙しそうな母の足音や、そういう、慣れ親しんだものに囲まれているが故の充足感というか、安心感というか、そんなもののおかげで、全くストレスなくピアノに集中できる。 いやいや、一人暮し歴がもう7、8年にもなるのに、まだまだ私も子供ですね。
でも、その反面、こういう生活を、私は心の底では望んでいるわけではないのかも、と思わせる出来事が今日はありました。
私の弟は、マスコミ関係に勤めていて、帰ってくるのは夜中の1時2時が当たり前、ときには出勤が朝の4時、なんていう不規則な生活をしています。 それでも、番組作っていく作業はとても面白いらしく、活き活きとしているのです。 私は、その様子を見て「大変だねぇ」と思いながらも、うらやましくも感じていました。 もともと、人と関わることが好きな上に、昔から何か企画したりするのが大好きな私。学生時代は、部活の部長とか、委員会の委員長とか、そんな役に必ずと言っていいほど付いていた私。 その私が、家に篭もって、家族以外に誰とも会わず、一心不乱にピアノだけ弾くようになるとは、誰が想像したでしょうか。 忙しい弟は、今朝、私がピアノ室に篭もっているときに、母に向かって言ったそうです。「いこちゃん(弟は私のことをこう呼ぶのです)こそ、外でバリバリ働きたいだろうねぇ。家に篭もっとったら、鬱々とするだろうねぇ。」と。 それを後で母から聞いたとき、この今の生活をそれなりに楽しんでいたはずの私なのに、なぜか、不意に泣けてきそうになっちゃいましてね。 なぜなのか、よくわからないけれど。 本当は、私も、外でバリバリ働きたいのかもしれません。 退職した後も嬉々として、会社の方達と連絡を取り合っている母を横目に。 外の組織に入るのも、ある意味、とても幸せなことなんだろうな、と。
ま、ないものねだり、ってやつでしょうけどね。
出身高校で、今年も夏のコーラスコンサートの準備が始まっています。 私達卒業生もOBとして、時間の許す限り、毎年お手伝いに駆けつけるのが通例です。OBも一緒に歌ったりもします。
私はドイツにいたのでここ数年は参加できなかったのだけど、今年に限ってはタイミング良くコンサートの時期に富山にいるということで、歌っちゃうぞー、と意気込んでいたわけですが、ま、急遽入った自分のリサイタルのおかげで、とてもじゃないけど皆のお手伝いをしている余裕がなく、とりあえずOB参加練習の初日である今日、顔見せだけしてきました。(もちろんリサイタルのチラシ持参で・・・宣伝しなくちゃね) いやいや、高校生って、若いわね!! 練習の途中からお邪魔して最後まで居たのですが、練習後の反省会とか、3年生が後輩達を叱咤激励してるのとか、なんだか懐かしいなー、というか、もう遠い世界だなー、なんて思いながら見ていました。
私が現役高校生だった頃は、夏のコンサートを手伝いに来てくれるOB・OGさんたちを「素敵〜」なんて思っていたものですが、今の高校生さんたちも、なんだかキラキラした目で私達へ「仲良くなりたいオーラ」を出してきてくれていて、うーん、これからコンサートまでずっと一緒に歌えないのがもったいない。仲良くなれそうな可愛い子とかいたのにな(女の子です、念の為)。 ごめんね、わたしゃ、自分のことで精一杯なのさ。コンサート当日だけは、なんとかして駆けつけるからねー!!なんて心の中で懺悔しながら、久々の高校の校舎から立ち去った私でありました。
しかし、後輩の高校生達に私のリサイタルのチラシを配ったとき、最初「何のコンサート??」というような顔を、皆するのですよ。 なんでかな、と思って、よくよく考えると、「ピアノ」という単語が、私自身の略歴の横にちっちゃーくしか書いてない!! コンサートの題名も「Accord Brise's Summer Concert」だもん。 私のことを知らない人にとっては、私がピアノを弾くなんて、知らないんですもんねぇ。当然ながら。 なんだか、最初は身内だけでこじんまりとするつもりだったので、私のことを知っている人なら当然分かるだろう、と無意識に思ったまま、大量にチラシを作ってしまったのですね。 こんな初歩的なミスをしているとは・・・。ああ、反省。 客観的になるのって、難しいですねぇ。
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