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今週8本目は(まじバカだな・・・)『マップ・オブ・ザ・ワールド』。原作はジェーン・ハミルトンのベストセラーで、製作がケネディ&マーシャルの元スピルバーグ組。監督は演劇界出身のスコット・エリオット。幼児虐待の罪に問われる主人公アリスにシガニー・ウィーバー(タフ&セクシーのイメージが強すぎて最初は戸惑いましたが、何とか誤魔化けてる。)。友人にジュリアン・ムーア(こちらは得意な役柄だし、途中で泣かされました!)という芸達者な二人。このメンバーで全くツマラナイというコトはないでしょう。だけんどもしかし!そんなに面白くもなかった(笑)っつーか、難しい結末に着地しすぎてる!アッシの読解力では良くわかりません(自爆)ちょっとした不注意や誤解、暴言から人生の落とし穴に落ちた女性の再生物語。差し詰め小生などは某BBSで「子供を殺したくなったことがある・・・」なんて暴言を吐いてますから、そんな事件が起きれば「あの人はやりかねない!」なんて証言されちゃうんでしょうねぇ(笑) パット・メセニーのリリシズム溢れる音楽が耳に心地よいです。
今週、本当は忙しくなりそうだったんですが、月曜日の連絡で1週間伸びてしまいまして・・・事の外、時間が出来ちゃいました。で、朝から『ブラック・ホーク・ダウン』に着陸。監督が、あのリドリー・スコット。製作が、あのジェリー・ブラッカイマー。いやぁ、市街戦をタップリ味わいました。っつーか、それだけの映画。全く内容はありません。「何故、アメリカはソマリアへ?」とか「何故、作戦は失敗したのか?」とか「何故、19人対1000人なのか?」という問いかけは無意味です。ラストに取って付けたようなブラッカイマー・セリフがありますが、そんなのはどーでもいいです!この映画は近年の市街戦の臨場感を観客に味合わせるだけの映画です。この戦闘シーンは『プライベート・ライアン』に遠く及ばない!という人や、本当はトニー・スコットが作ったんじゃないか!とか言う人もいるのですが、小生はリドリー・スコットの確かな演出力(画作り)は十分に感じました。陰の作り方、イエローライティングの使い方、ヘリの墜落シーンのカット割りなど、やはり上手いなぁと思いました。アカデミー音響効果賞は、たぶん戦闘シーンではなく静かなシーンでの音作りが評価されたんじゃないのかなぁ・・・。
さぁ!映画の日だぁ!まずは実話の映画化『折り梅』です。ストーリーは、自分が仕事を続けたい為に、義理の母親を引き取ったところ、アルツハイマー型痴呆症に罹ってしまい・・・・。この映画の一番いいところは、義理の母親(ちょっと若すぎるけど演技力でカバーの吉行和子)が、自分の母親とのエピソードを絡ませている部分なんです。老いた母にだって母がいる。この当たり前の事実ってのが、多くの映画では、けっこう忘れられてしまってるんですよ。そこを描く事によって義理の娘(原田美枝子)とのエピソードも自然に感じられますし、やはり人間は子供に生まれ、子供に帰っていくというワケですな。後半のハンカチ・エピソードあたりで終わっても十分良かったのですが、何せ実話なので・・・この辺りから微妙な展開なんですよ。というのは実話でなかったら「それはヤリ過ぎでしょ!」と突っ込まれるストーリーをあまりに丁寧に描きすぎてるんで・・・。そういう意味でも終盤は蛇足気味でした。ちょっと残念。それでもこの映画は素晴らしい!「折り梅」の意味も分かったし、もちろん「梅の木」も好きになりました。
昨日、ラッセをボコボコにしてしまったので、今度はチャン・イーモウで勝負!94年作の中国映画で、その年のカンヌ審査員特別賞受賞作『活きる』。この映画は古き良き邦画(今井正や山田洋次的ユーモア等)を彷彿とさせる清貧の美しさ、庶民の逞しさを存分に味合わせてくれます。時代の荒波に翻弄されようが、ボロ紙を一生懸命拡げて再び使うように(謎)、人間ってのはそんな簡単に挫けているワケにはいきません。どんなに泣き続けても、腹は減る!いい事も悪い事も全てを飲み込んでシッカリ生きてこその人生だろ!と、堂々と真正面から描いています。主演二人コン・リーとグォ・ヨウをはじめ、周りを固める子役から大人まで、全ての役者が素晴らしく、まさに中国激動の時代に生きた家族の感動大河ドラマ。(ひゃー!恥ずかしい表現だわ!)泣けます。ちなみに中国では未だ未公開だそうで・・・。チビっと長い?
ラッセ・ハルストレム監督最新作『シッピング・ニュース』。原作はピューリッツァー賞受賞のベストセラー。当たり外れのない監督なんですが、今回ばかりは初のダメだしです。まず、魅力的なエピソードがほとんどありません。さらに、舞台となるニューファンドランド島の天候も薄ら寒いうえに、人物達の過去が暗いモノばかり。だから、ケヴィン・スペイシーや、ジュディ・デンチ、ジュリアン・ムーアと勢揃いの役者陣が演じるキャラにも思い入れ出来ません。あーあ!次いこう!次! しっかしケイト・ブランシェットは相変わらずスゲェや!
初めてこの映画の話しを聞いた時は「どうせ、ツマンネェんだろうなぁ・・・」でした。ところが予告編を観てから、「ひょっとして面白いかも・・・」に変わって、最終日だった2本『パルムの樹』と『恋ごころ』をパスして観てきました。その名は『ミスター・ルーキー』!(爆) いやぁ、面白かったわ!懸念された野球シーンも迫力があり、スケール十分。そして、この映画はスポ根モノなんですが、邦画には珍しく、“ロッキー”してるんですよ。え、どういう意味か?って。つまりですね、この手の邦画ってのは昔から男の世界であり、男の友情モノだったりするんですが、『ミスター・ルーキー』は、な、なんと夫婦愛がど真ん中なんです。だから鶴田真由扮する奥さんが、一番美味しい役で、たぶん鶴田真由(もっと上手い役者)じゃなかったら、助演女優賞が獲れそうほどの美味しい役柄でした。で、欠点もそこにあります。つまり、役者がヘタなんですよ。一茂と駒田が上手く見えちゃう(笑) ヘタというより、ザルって感じでしょうか。まぁ、全体にヌルいってのかなぁ・・・・冷水でしめるの忘れてるみたいな・・・。脚本が良かっただけに惜しまれます。映画のワンシーン、ワンシーンに「おお!八木や!」「藪―!頼むぞー」「桧山―!!」と叫んでいた阪神ファンの貴方!素敵な掛け声でした(笑)
恐ろしいほど評判の良いピクサー制作のディズニー映画『モンスターズ・インク』。ハッキリ言って、コレを語る権利はアッシにはありませんな(笑)何を隠そう・・・超爆睡してしまいました(自爆)ブーを巡るドタバタが始まりだした辺りから強烈な睡魔が襲ってきて、うつらうつらしながら、意識が戻ったのは・・・・誰か(もちろん誰だか知ってます)がとんでもないコトになっちゃってて、「げげ、そういう展開なのぉ?」と、ちょっとビックリしたのですが、もうアフター・フェスティバル!でも、ラストのオチは、何だかちょっとなぁ・・・・ま、いいや。たぶんもう観に行かない。上手いですけどねぇ。
ズーっと迷ってて、今日も行く直前に「どうしようかなぁ・・・」と躊躇しながら、「だってミュージカルだぜ!」と自分にツッコミ入れながら、今週で終わってしまう・・・という強迫観念にかられて観に行った三池崇史監督作『カタクリ家の幸福』。ふぅ、長い前置き。で、結果は?ジャジャーン!!今のところ本年度邦画暫定1位。三池って監督は以前も書いたけど、人間を描くのはヘタだけど、その世界を作るのは上手い。今回のミュージカル映画にはそんな三池が養ってきたあらゆる映画のエッセンスが実に生き生きとバラ巻かれているんだわ!おそらく三池は「ミュージカル?ミュージカルなんてナニやったっていいんだからさぁ、もうハチャメチャやろうぜ!」みたいなノリだったんじゃないかなぁ。登場人物はどいつもこいつも胡散臭そうな連中ばっかりだし、音楽もかなりワザとらしくて良かった。それもそのはず歌謡ポップスの第一人者、馬飼野康二(まだ御健在だったんですねぇ(笑)オレとしては、この映画は三池の最高傑作だと思いますけど・・・。あーあ、行って良かった。
今日で終わってしまう『うつくしい人生』に朝から(と言っても11時半だけど・・・)行ってきました。素晴らしい映画でした。南フランスの田舎町。主人公のニコラは何の目的もなく、ただ漠然と都会への憧れを抱きながら、友人達と週末に大騒ぎをしている青年。ところが、ある出来事から彼の運命が大きく変わっていき・・・・。最初、観ていると、この映画は一体どうなってしまうのだろう?と、心配になるほど、あまりに地味に淡々を進むのですが、途中からボディーブローのように、その描写がゆっくりと心の中に染み込んで来て、ラスト30分は、ほとんど涙が止まりませんでした。この映画には人間が生きていく上で本当に大切なものは、そんなに多くないんだよ。と、優しく語りかけて来ます。だから当然の如くストーリーはベタです。でも、そんなコトはこの映画の重量感ある真摯な表現の前では何の意味もありません。人が写し出されている美しい自然も素晴らしく、琴の音色も印象的でした。自然の中で生活出来ないだろう自分は、こんな生活に憧れてしまいます。実際に生活していく事は大変だろうけど、ニコラに嫉妬している自分もいるんですよねぇ。
スパイク・ジョーンズ、チャーリー・カウフマンの『マルコヴィッチの穴』コンビが、ミュージック・ビデオの監督ミッシェル・ゴンドリーを迎えて製作した『ヒューマン・ネイチュア』。予告編で思い描いていた通りの映画でした。そこそこ面白い。もちろんシリアス・ドラマでもなければ、コメディでもありません。毒も中途半端な風刺映画。それでもけっこう面白い。そんな映画です。
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