Deckard's Movie Diary index|past|will
窪塚が企画から参加したらしい『凶気の桜』。映像も編集も監督がクリップ上がりだけあってセンスいいです。想像していたよりも飽きることなく観れました。でも、それだけでした。高橋マリ子扮する景子のキャラってのも薄っぺらくて嫌だったなぁ、山口(窪塚扮する主人公)との関係もダサかったし(爆)。結局この映画はオバカな若者達の青春モノってコトでなんですね。ナンだかなぁ・・・。もっと前向きなラストにしようよ!これじゃ、ただの犬死じゃん!それに江口ってどーよ!つまんねーキャスティング!ただ、窪塚の脇を固めるRIKIYA、須藤元気は素晴らしかったですね。また、この映画は今の渋谷の街がガンガン出てくるので、おそらく10年、20年してから観ると、「懐かしい!!」って言葉が自然と出てくるでしょう。昔からヤクザが仕切る新宿、右翼が仕切る渋谷。として有名なんですけど、この映画はその恩恵に思いっきり与ってますね。普通は、あんなに堂々と撮影出来ないですよ。
『酔っぱらった馬の時間』。クルド人監督、バフマン・ゴバディによる初のクルド人映画です。『クルド人』とは「国家を持たない世界最大の少数民族」というコトだそうです。舞台はイラン=イラクの山岳地帯。両親を亡くした子供達が難病の弟を抱えながら、健気に生きて行く姿を描いています。弟の手術代を稼ぐ為、長男のアヨブは危険な密輸キャラバンに!うーん・・・・あまりに悲惨で一言もありません。子供は生まれる国は選べない!とは言いますが、ただただ自分の恵まれた環境に感謝したいと思います。それにしても・・・現地でキャスティングされた子供達の演技はとても演技には見えません。鳥肌モノです。
相変わらず精力的に映画に出巻くっているデ・ニーロ最新作『容疑者』。ピュリッツァー賞受賞ジャーナリストの実話を基にした原作の映画化です。話が2時間ドラマのように手際よくサクサク進んでいってしまうのですが、演出が上手いのでついつい見入っちゃいます。音楽は必要最小限にしか入りませんし、たまにここぞ!とかかるメロディがマイナーなんですよ。だから、ハリウッド映画では珍しいくらいにウェットな気分にさせられます。ラスト近辺、デ・ニーロの演技は最高潮になるのですが、ナンだか良く出来ている邦画を観ているようでした。そうなんです!この映画ってかなりベタベタな邦画風味!とにかく、息子を持つ男親としては泣けた映画でした。息子役のジェームズ・フランコも良かったですよ。でも・・・ロングアイランドってあんなにサビれちゃってるんですか?
フィルムセンターにて、76年作『青春の殺人者』。言わずと知れた長谷川和彦の監督デビュー作であり、キネマ旬報ベストテン第1位作品。雨の中をトボトボ歩く順(水谷豊)。望遠レンズで捉えた映像に静かにイントロが被さって来る。横を走るトラックに水飛沫を浴びせられ、一瞬立ち止まる。再び歩き出した順に♪Do me a favor, will ya? と突き抜けるような透明な歌声が響き『青春の殺人者』のタイトルがバーン!!いやぁ、マジで胸が熱くなりました。26年前学生だった時にも感じた、何とも言えない胸の高鳴り。この洗練された音楽には驚きました。かなり音楽状況に詳しかった小生でしたが、どんな音源なのか全くわかりませんでした。広告等では音楽も先進的な使われ方などしていましたが、まさか、邦画で!? というわけでオープニングから、その新しい感覚にやられちゃったんですねぇ。しかし映画全体としては、当時の先進的な部分(特に映像感覚)は、今となっては手垢が付いた演出のように見えてしまって、ちょっとスカスカに感じてしまいました。(>_<)アチャ!それでも、母(市原悦子)と順の格闘(殺し合い)シーンは凄まじい空気で充満していて、やはり目に力が入ってしまいました(笑)。そしてナンと言っても恋人ケイ子を演じた原田美枝子(当時17歳!同じ年に『大地の子守唄』にも主演))!まだまだヘタクソなんですけど、その存在感って言ったら!まさに、この映画の為だけに存在していた。と言っても過言ではないでしょう。内容は千葉県で実際におこった「両親殺人事件」が題材なので重いです。それなのに、見終わって清々しい感覚さえ感じるのは紛れもなく水谷豊の飄々な存在感と、ゴダイゴの音楽でした。原作は中上健二の『蛇淫』。チョイ役で桃井かおり、江藤潤の70年代系の売れっ子達が花を添えています。あの『愛を乞う人』の原田美枝子なんだよなぁ・・・あー、時は過ぎたのねぇー(苦笑)
世界の北野武最新作『Dolls』。個人的には、何故そんなに高い評価をされているのか、全くわからない監督です。今作は北野監督としては『あの夏、いちばん静かな海。』以来の男女が関係してくる映画。究極の「愛」がテーマだそうで・・・。こちらの勉強不足で申し訳ないのですが、トップに出てきた文楽はどういう意味の浄瑠璃なんですかねぇ?近松のどういう話なんですか?それが解ると、この映画はもっと面白いんでしょうか?結局「愛は狂気」っとコト?だってね、どうしようもなくつまらないじゃないですか!笑っちゃうくらい面白くない!何なのコレは!私はこの映画の良さを全く理解出来ませんでした。強いて言えば、良かったのはファッションだけかなぁ・・・。それにしても観たのは平日昼間なんですけど、混んでましたねぇ。まぁ、若いカップルの多いこと!(苦笑)
予告編ではちょっとヤバそうなニュアンスだった『阿弥陀堂だより』を観てきました。最初、ちょっと大丈夫かぁ?と思いましたけどね、さっさと白状しちゃいますが、とても良かったです。小泉堯史の初監督作『雨あがる』よりも好きです。パニック症候群の治療を兼ねて東京から田舎に移り住んで来た夫婦の話。それだけの話です。しかし、この映画の奥深さは只者ではありません。ただ、この映画の良さはそれなりに年齢を重ねないと分らないかもしれません。今年91歳の北林谷栄は涙が出るくらい絶品です。また黒澤組の香川京子は凛としています。寺尾聡も樋口可南子も別に好きな役者ではないですが、抑えた演技に好感が持てます。また、喉を患い唖し役の小西真奈美は『息子』の和久井映見に匹敵する美味しい役ですが、やはりとても美しい存在として輝いていました。長野県奥信濃で1年間に渡る長期ロケを敢行した映像は、叙情的な加古隆の音楽に彩られて、これ以上は無いといえるほどの丁寧な作りなっています。この映画は全編を通して賞賛されるべき仕事と言えるでしょう。しかし!たったひとつだけ言いたい事が・・・この映画には決定的に欠けているモノがあって、それさえあれば凄い傑作になったんじゃないかなぁ・・・と、思いました。古き良き邦画を彷彿とさせる、名も無く貧しく美しくの「清貧」の思想を感じさせるこの映画は生真面目な映画で、それはそれでイイんです。でも、人が生きていく上には他にも必要なモノがあるじゃないですか。生きているだけで、そう感じさせるモノが。そう、ユーモアなんです。いとおしくなってしまうような滑稽な部分。北林谷栄のお祖母ちゃんにちょっとその雰囲気がありましたけどね。もっとクスっと笑える部分が欲しかったなぁ。まぁ、日本人が一番苦手としている表現なんですけどね。でも、この映画はジワジワ心に染み込んでくる素敵な映画でした。
アカデミー賞8部門、ゴールデン・グローブ賞4部門、イギリス・アカデミー賞4部門、LA批評家協会賞4部門!まさに受賞の嵐と言えるミロシュ・フォアマン監督作『アマデウス DC』。さすがに素晴らしい!もちろん初公開当時に劇場観賞はしていますが、素晴らしいモノは何度観ても素晴らしいです。音楽はもちろん、脚本、演出、美術、衣装、全てに惚れ惚れします。物作りをしていると、明らかに自分の力を越えてるなぁ・・・と思える作品を作り出す事があるのですが、この作品はまさにソレですね。ミロシュ・フォアマンの力量(もちろんその才能は認めていますよ。『カッコーの巣の上で』も素晴らしい作品でした。ただ、監督の個性を越えて輝く作品となると、コレはまた別の領域だと思うんですよ。)を凌駕していると思うのはオレだけじゃないでしょう。ただ、個人的にはオリジナルのが好きです。やはりちょっと長いかなぁ・・・。もちろんアマデウス夫人がサリエリを嫌っている意味は明確になっていましたけどね。まぁ、とにかく万人にお薦めしたい映画に変わりはありません。
ベストセラー(麻生 幾)の映画化なのに過激な内容が災いしてか、途中でSPは降りるわ!防衛庁は協力してくれないわ!で、ポシャリそうだったのを、東映がバックアップしてどうにかこうにか完成させた石侍露堂(セジ・ロドウ・・・誰?)監督作『宣戦布告』。悪くなかったですよ。思っていたよりね(ってコレが曲者)。試写会で石原が激怒したそうだけど、これは怒るでしょうね。まず、こういう状態になったら現場レベルで発砲するんじゃないでしょうか。また、幾ら実戦経験の無い自衛隊だって、こんなバカな作戦は立てませんよ。っつーか、こんなアホな行動(敵に撃たれるように飛び出す。それが許されるのはジョン・ウーだけです!)はしませんよ。それにCGのヒューイ(ヘリ)に固執しすぎ!ま、わからんでもないですけどね(苦笑)しっかし、自衛隊の発砲ってそんなに難しいんですか・・・無知なのでワカリマセンでした。映画としては描かれたコトのない世界だったので楽しめました。
初監督作『アメリカン・ビューティー』でアカデミー賞を受賞したサム・メンデスの2作目はポール・ニューマン、トム・ハンクス、ジュード・ロウという魅力的な共演の『ロード・トゥ・パーディション』。良く出来てますよ!共演の3人も素晴らしく、重厚な演出も相まって素晴らしいコラボレーションです。前回と同じく父と子の物語。しかし今回は男の子二人を持つ主人公、小生と同じ境遇ってのもありますが、好感度でした。ラストで親子の関係が良かったですねぇ。やっぱり親はこうありたい!映画としては『アメ・ビュー』でしょうけど、この映画も好きです。しっとりと成熟した空気に満たされた良い映画でした。
宣伝コピーは「犯罪オタク高校生がしかける、次世代型犯罪の幕開け」。面白そうじゃないですかぁ!『完全犯罪クラブ』。見終わって一言「何処が完全なんじゃいー!」。底が浅せぇ〜〜〜〜〜!こんな脚本でいいのかよー!えー、ハリウッドさんよー!後半の脚本をもっと練りこめば、すっげぇ良くなった可能性があるのになぁ!つまり現場に残された証拠品まで計算されていた方が面白くなったし、ラストでサンドラ・ブロックは○○○ちゃって、それでも犯人は最後に捕まっちゃう!みたいな話しが良かったなぁ。そのくらい楽しませてよ。犯人役の高校生ライアン・ゴズリングにはちょっとエドワード・ノートンのような雰囲気が漂っていました。
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