Deckard's Movie Diary
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2003年09月11日(木)  レボリューション6

ぴあランキングで低得点ながら押し出されて1位(だって2位が本年度ワーストの呼び声高い『ドラゴン・ヘッド』ですから・・・)になってしまった映画『レボリューション6』です。内容は“ぴあ”で1位ですからベタです。設定や脚本は悪くないのですが、人物描写が甘いのでイマイチ食い足りません。まぁ、その辺りもまさに“ぴあ”1位(笑)。“ジャーマン・スタイリッシュ・ムービー”・・・ドイツ製で、ドイツ語を喋っていて、耳あたりの良い音楽がBGMで、若者が主人公。まさにその手の映画。悪くないけどスルーでも全く問題なし!トム・ティクバの『ラン・ローラ・ラン』を越えるのはそう簡単じゃないですよ。あ、主人公の彼、どこかで見た顔だと思ったら『ドリヴン』の敵役ドライバーだったのねん。


2003年09月10日(水)  月の砂漠

『月の砂漠』は、前作『ユリイカ』で2000年のカンヌ映画祭で「国際批評家連盟賞」「エキュメニック賞」W受賞の快挙を35歳で達成した青山真治監督の新作です。『ユリイカ』は完成度はともかく、事件をキチンと見つめようとした意欲は十分感じられました。が、今回はちょっといただけません。家族がテーマのようですが、相変わらずの寡黙な演出がいい加減鼻につきます。結局は、衝撃的な事件だったら、その手の演出も優しい観客の勝手な思い込みで「うんうん!わかる!わかる!」となるんでしょうけど、今作のように描き尽くされてきたテーマでは、そうは問屋が卸さない!って感じでしょうか。登場人物はどいつもこいつも生気がなく、生まれてこのかた曇り空の下でしか息をしたコトがないような連中ばかり。長々と胡散臭いストーリーを描いた挙句に「一緒に住みたいのなら、私達家族じゃない!」って、そりゃないだろ(苦笑)どうも青山真治という人は評価され過ぎているような気がします。退屈で凡庸な映画でした。青山真治はもういいや・・・ボソ。


2003年09月09日(火)  座頭市 コンフェッション

北野たけし2度目のベネチア映画祭受賞作品『座頭市』。しかも今回は監督賞!海外で評価される最近の日本映画のほとんどが面白くないので、今回も期待していませんでした。とくに北野作品は前作『Dolls』の印象も最悪でしたし(笑)。結論から言うと、監督賞はどうなん?って印象は否めませんが、映画としては十分楽しめました。欠点はたけし演じる座頭市のキャラがちょっと弱いところでしょうか・・・勝新太郎の座頭市がやたらとアクが強かったので、それに比べて北野版はサラッとしていて今風です。そういう意味では、北野監督らしいぶっきらぼうな演出(それしか出来ない?)なんでしょうが、雨のシーンでのエピソード等はもっと饒舌に描いて欲しかった部分ではあります。二人連れの話も長過ぎますしねぇ・・・他にも口に出したらキリがありません。浅野ではなく仲代だったらどうだったんだろ(反則!)とか『用心棒』くらいセリフが面白けりゃなぁ・・とか(笑)、まぁ、色々ありますが、決闘シーン(詳しくは書けませんが)は最初の出会いまで遡る上手い演出でしたよ。久石譲からムーンライダースの鈴木慶一に替わった音楽も良い方向におさまっていました。音楽の使い方というか、持って行き方にしっかり気を遣っていて、ちょっとびっくり。観終わって「けっこう面白かったなぁ・・・久しぶりだ、こういう映画・・・」と思い、ふと気がついちゃったんですよ・・・この手の娯楽作品を映画館で観たのは久しぶりだった!というコトはですよ、それは取りも直さず、ナンとも情けない今の邦画界のていたらくを露見した作品とも言えるワケです。だって、別に新しいコトはな〜んにもないですよ。ごくごく定番の(ちゃんばら)娯楽映画です。そういう映画をほとんど観るコトが出来ない現状はどうなん?で、その作品を作ったのが映画界出身監督ではないところがさらに嘆かわしい!ったらありゃしない!(´―`)┌ ヤレヤレ…で、皆さん御心配のタップダンス・シーンですが、まぁ、上手くハマッてたんじゃないでしょうか、二度目は要りませんが・・・。また、例によってベタなギャグやコントがありますので、その辺りが鬱陶しいと思う方は困ってしまうでしょう(苦笑)。オチに関しては賛否両論でしょうが、アッシは良しとします(笑)いいんです!今回は擁護派です!

ジョージ・クルーニー初監督作『コンフェション』。これはつまらなかったなぁ・・・・っつーか、この話って面白いんですかぁ?スクリーンを観ながら、ズーっと考えてしまいました。もっとあたりまえのコメディにした方が良かったんじゃないでしょうか。どうも「お洒落に面白く作ってやろう!」みたいな姿勢ばかり見えちゃって、居心地悪いというか弾けてないっつーか・・・。結局は“ゴング・ショー”並みのバラエティ感覚で十分な素材なんじゃないのぉ?だって、所詮「アタシってば、アイドルなのにパー子(パーマン3号)なのよ〜」って話でしょ!あ、そういうコトじゃないんですか?


2003年09月08日(月)  天使の牙 ゲロッパ!

大沢在昌の原作『天使の牙』です。監督はこれがデビューになる、『踊る大走査線/THE MOVIE』などのタイトルバック映像で名を知らしめた西村了。撮影はMISIA等のPVで有名な川津太郎。この二人が組んでいるので映像は邦画としては十二分に耐えうるモノになっているんですが・・・脚本がどーしようもない!未だにこんなクソつまらない映画を作ってるんですねぇ。どーして、こうもいい加減なコトが堂々と出来るのでしょうか?ストーリーも、キャラクターも、演じる役者も全てダメ!ダメなところを指摘するのが空しくなるくらいです。頭部手術したのに全く傷跡が無いとか、1年であそこまで毛が伸びるんかい?とか、末梢的なツッコミ所は大目に見たとしても、サスペンスなのに緊迫感がゼロ!地の果てまでも続きそうな御都合主義!だらだらと出鱈目ばかり見せられる観客の身にもなれ!っちゅーねん。他作品ではそれなりに魅せるコトが出来る何人かの役者も恐ろしいほど魅力がないし、新人の佐田真由美も見るべきところは何もなし!製作段階で5〜6人の監督が出たり入ったりした今作品は明らかに制作者側の大失態!こんな中途半端な映画を劇場公開するコトは恥ずべき行為以外の何物でもない!と松竹&WBは自覚すべき!な〜にが「心を抱いて」(映画キャッチ)だよ!頭抱えろよ(苦笑) 


さてさて問題作『ゲロッパ』です。つまらない映画だとは思いません。おそらくハリウッド辺りでリメイクすればけっこう面白い映画になるんじゃないかと思います。しかし、この映画は・・・折角面白いプロットを考えたのに、演出しきれなかった井筒和幸の不幸とでも言うのでしょうか?まぁ、演出しきれなかった!というより、コレが彼のスタイルですけどね(笑)。そういうワケですからオイラは「まぁ、井筒だから、例のパターンね!」と予防注射をしていましたので、その点(コテコテとか、笑えないとかね・・・)に関しては敢えてツッコミ入れません。ただ、折角の素材を活かしきれて居ないのがナンともモッタイない!例えば、そのまま食しても十分美味しい食材なのに、「ワシは何でもマヨネーズをかけないと気が済まないんやぁ〜!」と叫んで、食べる前からドバドバドピュ!っとしちゃうようなエゲツなさでしょうか。偽者と本物・・・もっと話しが膨らむ要素はあると思うんですけどねぇ・・・後は役者です。別に西田がダメ!って言ってるワケじゃなくて、「ああ、西田なのね・・・」って感じです。目を閉じていても表情が容易に想像つく演技に期待感なんて持てないです。常盤もTVドラマで馴らした器用なワンパターン演技ですし、岸辺一徳の声が裏返るような過剰なテンションの演技(井筒の演出でしょうけど)には観ている方が酸欠を起こしそうです。おそらく、キャストを吉本新喜劇のメンバーで総とっかえしても全く問題ないでしょう!もっと映画としてワクワクするようなキャスティングが出来ないモンすかねぇ・・・ボソ。それにしても、もったいない!


2003年09月04日(木)  アダプテーション

なんじゃ、この映画はぁ!途中でバカバカしくなってきました(笑)。人によっては「面白い!」と仰る方もいらしゃるでしょうが、個人的にはかなり鬱陶しかったです。とても頭の良い人間(異常に小賢しい!とも言う)が、失敗しないように全てにエクスキューズしながら世の中渡っているような映画とでも言うのでしょうか(わかんねぇ〜)。とにかく下心バレバレなので、めちゃめちゃ嫌らしいコト山の如しでした。

「君とSEXしたいなぁ・・・でも、別にそれだけが目的ではないよ・・・だから、そうならなくても全然構わないんだけど・・・そりゃ、オレだって男だしね、君は魅力的だから、もちろんその気はあるさ・・・魅力的な女性の前では男は無力だし(笑)・・・でも、それが全てではないよ・・・なんて言うのかなぁ・・・君って、男をその気にさせる雰囲気を持ってるんだけど、でも馬鹿っぽくないし・・・だって、そういう女性って普通は何処か安っぽいし・・・(⌒o⌒;Aでも、君は男としては見て見ぬふり出来ないタイプだよねぇ・・・ほら!そうやって微笑むところなんか見ちゃうと、どうも君の手のひらで転がされているような気分にもなっちゃうし・・・(苦笑)・・・オレでは役不足のような気もするけど・・・でも、どうなんだろう・・・だけど、謎だよなぁ・・・君を虜にする男性のタイプがわかんないなぁ・・・。あ、そうそう!ライト兄弟って本当は5人兄弟なんだって、知ってた?」
彼女「へぇ〜」みたいな・・・(しょーもねぇ)

つまり、「SEXをするかどうかは、ど〜でもイイんだけどね」って言いながら、思いっきりBEDに連れ込もうと口説いているような・・・先日、棒バラエティ番組に登場していた“トリビアの泉で女を口説く男”のような映画でした(わかんねぇ〜)。もっと分かり易く言えば、シネマ・ライズ辺りの観客層には大ウケ!みたいな、もっとハッキリ言えば『マルコビッチの穴』と同じように後半モノの見事に失速した映画です。取っ掛りは面白いんだけど、結局はヤリタイだけじゃん!(なにを?)


2003年08月26日(火)  ファム・ファタール 28日後...

『ミッション・トゥ・マーズ』に続くブラインアン・デ・パルマの新作『ファム・ファタール』です。いやぁ、懐かしい!というか、やっちゃったよ!(苦笑)というか、ここのところ控えめだったデ・パルマ節が鬱陶しいくらい炸裂しています!話しの展開にほとんど影響ないケレン味たっぷりの映像、思わせぶりな“間”の連続、ダラダラと垂れ流される音楽の妙な緊張感・・・等等。ここまで炸裂しているのは『ボディ・ダブル』以来でしょうか?で、結局、だから何?って言われると・・・何もない(爆)でも、腐ってもデ・パルマ!嫌いじゃないんだよなぁ・・・ストーリーが良いとか悪いとかじゃなくて、何て言うのかなぁ・・・「オイラはこういうのが作りたいんだよ〜!」というダダを捏ねてるオッサンみたいな・・・(笑)とにかく前作の『ミッション・トゥ・マーズ』よりは個人的には断然OK!(アタリマエ〜)。どちらにしろ、完成度はアレですが・・・ボソ だけんどもしかし!水野晴郎氏・・・「ラストは私の『シベ超1、2、3』にそっくりなのが気になる・・・」ですと・・・へ〜!そもそも『シベ超』にオリジナリティがあるんですかぁ?何せ『シベ超』は全て未見ですので・・・。

こちらは『ザ・ビーチ』に続くダニー・ボイルの新作『28日後』。はっきり言って今更ナンですのぉ?のm(~q~;)m ゾンビー…モノです。ロメロの不朽の名作ゾンビ三部作が既にありますので、スタートラインからして、かなり旗色悪いんですが、それでも前半はいい感じで見せてくれます。ロメロのゾンビがちょっと安手のホラーに見えちゃう分(実際、安いですし・・・ボソ)、こちらの描き方はかなりリアル。今風の怖がらせ方も心得ていて興味をそそられますが・・・後半(>_<)アチャ!あまりの展開に(・_・)ヾ(^o^;) オイオイとなってしまいました。そういう展開になっちゃったら、映画自体がゲテモノになっちまいますよ(苦笑)。真摯な態度なら(そういう映画もありました)、受け入れられるストーリーも、これは単なる欲望じゃないですかぁ(笑)。挙句の果てに“着飾る”んですと(笑)。ボイルくん、どーなのよ!底が浅くないかい?救いの手が美しく登場するだけに、モッタイない!で、例によって木村奈保子!「緻密な構築のもとに作られた世界観に圧倒される。ハリウッド映画のパターンを破る展開。パニック・ホラーの傑作。」ですと!コヤツ、ロメロの3部作を紹介はしていても本編は観てませんわな(苦笑)。


2003年08月25日(月)  パイレーツ・オブ・カリビアン

今から遡ること20年近く前、場所はマンハッタン、JAL後用達・エセックス・ハウスの一室。1年ぶりに会ったばかりのコーディネーターのジョージが日課のように言った。「Dinnerハ、ナニガタベタイデスカァ?」オイラも日課のように「美味しいとこ!」で、ジョージが答える「リョウガToo Much!ジャナイトコネ。OK!Monday Nightネ(←アメリカ人の言う日本語英語です。意味はもちろん“問題ない”)」。2時間後、店の前でジョージは得意そうに言った。「ココハ、イマイチバン Attractive ナRestaurantネ!」。とても洗練されたスタイルのイタリアンで「おお、なんかエエ感じやないかい!」と思いながら、フト、店名を見たら!な、なんと!『CHAYA』と書いてあるではないかぁ!お、お〜い!!Σ( ̄□ ̄;)こりゃ、あの逗子にある『ラ・マーレ・ド・チャヤ』のNY支店じゃねーのかぁ!ジョージさんよぉ!というワケで、日本と変わらない慇懃な態度でサーヴされちゃったまま、メインのパスタを見てビックらこいた!パスタの量の少ないこと!って言ったら、前菜と見間違うほどだったわさ(苦笑)。あのカルホーンが食べたら一口だろうに!って、あ!カルホーンなんて知らないだろうなぁ・・・ボソ。アンドレ・ザ・ジャイアントが食べたら一口だろうに!って、アンドレも知らないのかなぁ・・・ボソ。じゃ、ブルーノ・サンマルチノが・・・って、コイツは持ち上げる方だしぃ・・・とにかく!ガタイの良いアメリカ人が食べたら一口で終わりそうな量で、こりゃ、幾らなんでもやり過ぎだろ!って、見回したら店は超満員!そんなんでいいのかぁ?水で割ったらアメリカン!はともかく、量が無くてもアメリカン!なんて、なんだかなぁ〜だぜ!そりゃ、どんなに美味しい料理だって大量にテーブルに置かれたらゲンナリだわさ!ところが、アメリカ人というのは量が多いコトが一番の御馳走だと思っているところがあって、「あ〜もったいない!」とか「もう喰えねぇ〜」とか、毎度の食事が飽食の時間!つーくらいだからね。ところが、ここまで少ないとコレはコレで犯罪でしょ!それでもイイのかアメリカ〜ン!結局は、多からず少なからず。人間万事腹八分目が心地良く生きる道なのねん・・・というワケで『踊る2』に続いて大ヒットしているらしいこの夏の封切り映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』。こりゃ、本編に勝るとも劣らないプロローグの長さだわ(自爆))

噂に違わず平日昼間の渋谷では9割がた席が埋まってました。直前を歩いていた女性カップルの一人は「アタシ、3回目よ。それもここ2週間でね。デップがかっこいいのよ〜♪」だってよ〜(苦笑)・・・2時間半以上後。とにかくこの手のハリウッド映画にはもうウンザリ!どーでもいい!そこら辺に転がしておいて下さい〜って、感じです。多くの皆様が指摘している通り、とにかく長い!おそらくブラッカイマー家のディナーは大量のパスタがドーンとテーブルを飾るのでしょう。それも一口目は目ん玉飛び出るくらい美味いんだけど、その後は食べても食べても減らなくて、麺はドンドン伸びちゃうし・・・もうパスタの山に埋もれてしまいます。で、全身がトマトソース塗れになって、タキシードの胸までパスタに埋まってるのに!靴紐もちろん!棒タイまでもがパスタになってるのにぃ〜!「どうです、美味いでしょう♪ナンと言っても今が旬の素材を使ってますからぁ!お〜い!もっと持って来い!ちょっと茹で過ぎですな。今日のシェフはこれからですから、大目に見てください。わっはっは!」って、アンタの頭が茹で過ぎだ!っちゅーねん。結論!『パイレーツ・オブ・カリビアン』はアメリカのドライブ・インで食べる、茹で過ぎの上にメチャメチャ量の多い“スパゲッチィ・アメリカン”の味わいだわさ。

「YummyナFoodsハショウショウネ!」って、『CHAYA』で気取っていたジョージ!映画を観終わった後、あの時の君コトを思い出しちゃったぜ(苦笑)。今は何してるんかいのぉ?元気ぃ?え、ナンだって?「ダイジョーブ!My Friend♪ Monday Nightネ!」


2003年08月21日(木)  英雄(ヒーロー)

予告編から容易に想像出来る映像は言うまでもなく、美術、小道具、群集シーン、登場人物の立ち振る舞い、そしてストーリー&ストーリーテリングの全てが華麗で優雅で惚れ惚れするほど美しい!この映画ほど、何の臆面も無く堂々と「後世に残る傑作です!」と言える作品も珍しいのではないでしょうか?言うなれば無駄な脂肪が一切付いてない、真に美しい女性の肉体(芸術的な意味です。)を眺めているような印象です。ちょっと眠気眼で上映を迎えたのですが、滴が舞い落ちるドニー・イェンとジェット・リーの殺陣を観ただけで眠気はブッ飛びました。緊張感溢れる間合いから生み出される優美で鋭角なアクションもまた、あくまで美しくスマートに完結します。黒澤の影響は見え隠れしますが、十分に消化されているので全く違和感無く『英雄』の世界に溶け込んでいます。『グリーン・ディステニー』に似ているという音楽も、『グリーン・ディステニー』より映画として魅力的な分、素敵に感じましたし、SE(サウンド・エフェクト)の素晴らしさも特筆すべきモノです。あまりに広告的!とも言える計算されたヴィジュアルの連続は、例えば“汗”の一滴をも流さないアクションに代表されるように、観る人によっては「なんじゃこりゃ!」という印象を残すと思いますが、映像芸術の一つの到達点と言っても過言ではないでしょう。古くは篠田正浩の『心中天網島』に観られた究極の様式美とも言える、観客の前に広がる圧倒的な映像世界。そして、美しすぎる映像に抱かれたストーリーはギリシャ神話を思わせ、骨太でまさにナタの切れ味!個人的には非常に洗練された超自然世界の寓話を観たような気分です。結果的に不満足であったとしても観るべき映画である!と言えるでしょう。もちろん、映画館で御覧下さい!ちょっと褒めすぎ?だって、好きなんだも〜ん!不満が残るとすればドニー・イェンが最初にしか出て来ないところかなぁ・・・・ボソ。

※ カメラマンにクレジットされているのはクリストファー・ドイルですが、この映画の映像のセンスはまさにチョン・イーモウ!この二人はどういう風に交わっていったのか非常に興味がありますが、映画同様“藪の中”かもしれません。唯一わかるコトは“マギー・チャン”を一番美しく撮れるカメラマンはドイル!ってコトですね。(おちょう〜しさんとのヤリトリから推測しています)


2003年08月15日(金)  氷海の伝説

いつまで経っても誰ぁ〜れも観に行かないし、何処からも感想は聞こえて来ないし、仕方がないので自らを叱咤激励して鉄砲玉になってきました(笑)。10分の休憩を挟んで3時間2分の人身御供。場所は、特別な人々にとっては聖地とも崇め奉られ、一般的な映画ファンにとっては鬼門のようでもある岩波ホール(笑)。2001年カンヌ映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)受賞、2002年カナダ・アカデミー賞6部門受賞。イヌイットによるイヌイット語を用いて製作された世界初の長編劇映画『氷海の伝説』です。で、内容は簡単に言ってしまうと、シェイクスピアのイヌイット版ですね。イヌイットによるシェイクスピア劇とでも言うんでしょうか。もっと素朴な話しなんかなぁ・・・と、勝手に思っていたら、かなり下世話な内容でした。まぁ、人が集まれば様々な感情が産まれ、その感情が軋轢を生みトラブルを巻き起こす。それは少数民族であろうと関係ないワケです。シェイクスピア劇自体が人間の根本に根ざした非常に分かりやすいドラマですから、逆に複雑になり過ぎた現代では物足りない物語でも、昔ながらの生活を営んでいるイヌイットならば説得あるストーリーになるワケです。話は4世代に跨る一大叙事詩な上に、朴とつな語り口なのでちょっと分かり辛いです。それぞれのルックスも当初は把握仕切れませんでしたし(>_<)アチャ!エンディングでのサービス・カットはちょっといただけませんねぇ。

久々の岩波ホールだったんですが、いきなり見ちゃいました。独断推定67歳のオバァサンが独断推定51歳のオジサンを一括してました。オバァサンの座ってる前を何も言わずに通ったら、半径3mには十分聞こえる声で「アンタねぇ!人の前を横切るんなら“すみません”の一言くらい言いなさいよぉ!(怒)」ひょえ〜!怖ぇ〜!ま、何も言わないオジサンが悪いですけどね(苦笑)。というワケで終戦記念日の出来事でした。


2003年08月14日(木)  名もなきアフリカの地で フリーダ

雨のお盆休み・・・映画館は混んでそうですが、今後忙しくなりそうなので思い切って突入しました。シネ・スイッチ銀座内でハシゴです。まぁ、シネ・スイッチのレディス・デイである“魔の金曜日”よりは絶対空いてるでしょうからね。というワケで『名もなきアフリカの地で』と「フリーダ」です。

まずはアカデミー賞外国映画賞を獲得した『名もなきアフリカの地で』。う〜ん・・・・普通の大河ドラマでしたねぇ。予告編を観た時から「そんなに面白いのかなぁ・・・」という印象だったんですが、その危惧が当たってしまいました。もちろん悪い映画ではありませんが、それほどの映画とも思えません。家族全員を万遍なく描いた事によって大きな物語にはなったのですが、結局は何を言いたかったのか(家族が成長していく話なんでしょうけど・・・)、焦点がボケてしまったようです。家族全員を描くにしても、もう少し大胆な描写というか、演出が欲しかったのかもしれません。オイラの胸にはあまり響きませんでした(自爆)。おそらく観客の多くは少女レギーナと料理人オウアの交流をもっと観ていたかったんじゃないでしょうか?それにしても、男は仕方なく前に進む時も、積極的に前に進む時も悲壮感が漂っていますが、女性は賛成するにしろ反対するにしろ生命力がありますねぇ・・・。

東急の戦略が上手かったせいなのか、世の中ちょっとしたプチ・フリーダ・ブームのようです(笑)。前作『タイタス』で強烈な作家性を感じさせてくれたジュリー・テイモア監督の最新作ですから期待して観に行ったんですが・・・、ちょっと肩透かし?というか、フリーダの人生を追う場面とテイモアお得意のヴィジュアル・スキャンダルなイメージが上手くマッチしていない印象でした。ギュギュっと実が詰まった感じありません。個人的にはテイモアに小賢しさなんて求めていませんので、もっとフリーダの生き様にテイモア流の光線を当てて欲しかったです。最大の欠点は、何度も手術を繰り返したというフリーダの“身体的な痛み”がほとんど感じられなかったコトかもしれません。というワケで、意外とまともな映画だったんでちょっとガックリ。多分、オイラが期待し過ぎなんでしょう(苦笑)。また、アカデミー作曲賞は理解出来るとしても、メイクアップ賞ってのは、いまいちわかりませんでした。繋がった眉毛の事なんですかねぇ?『ショコラ』でお堅いレノ伯爵を演じたアルフレッド・モリーナの増量ぶりは見事でしたが・・・って、まさか!あの増量がぁ?


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