Deckard's Movie Diary index|past|will
宇多田ひかるの・・・と言われてしまうのは宿命でしょう。カメラマン出身の紀里谷和明初監督作『キャシャーン』です。公開前から話題になっている、クリップで養った映像感覚は悪くはないですが、別にどうってコトもありません(苦笑)。結局はストーリーですからね。だいたい、いまどき「すっげぇ〜映像だよ!コレ!」なんてモノがあるんですか?映像を生かすも殺すもストーリーが大きく関係(もちろん、脚本、演出、音楽等も密接に関係していますが・・・)してきます。つまり、男女が抱き合っている映像は腐るほど目にしますが、その魅力度が前後のストーリーによって大きく左右されるのと同じです。逆に言えば映像が陳腐だったとしてもストーリーがしっかりしていれば魅力的なモノになりますし、8ミリビデオの投稿映像から才能ある新人が登場してくるのも当然のコトなのです。さて、竜ノ子プロ(当時は今をときめくFFシリーズ有名な天野嘉孝氏も参加していたらしい)作品『キャシャーン』の実写版です。簡単に言ってしまえば長いし、くどいし、話がまとまっていません。おそらく初監督という気負いが空回りした部分があるのでしょう。アレもコレもと詰め込みすぎて全てが浅い印象です。登場人物それぞれの背景がほとんど描かれないので、思い入れも出来ません。後半になってようやく見えてくる物もあるのですが、そこからまた話が膨れすぎてしまって・・・とにかく語りが多く説教臭さだけが残ってしまいました。全体的な印象も芯が入ってないというか、居心地が悪いです。でも、少なくとも中野某なんぞよりは志の高さは感じられます。紀里谷和明・・・きっと真面目な人なんだろなぁ・・・ボソ。
最近、完成度がだんだん下がって来ていると思われるシリーズですが、今回もまたその流れを止められなかったようです。観始めて「ひょっとしたら?」と思わせてくれたのですが、結局はキャラクターの勢いだけで突っ走ってしまい、脚本のツメの甘さは否めませんでした。前半で描かれる“***しまう”コトへの怖さや切なさがテーマなのかと思ったら、ストーリーが進むにつれ、そんなモノはドコかに行ってしまいました(苦笑)。十分面白くなる下地があっただけに残念です。
真に気持ちの良い青春映画でした。ストーリーは期待を裏切る事なくストレート一本!出だしから、そのスティックさばきのようにテンポ良く、要所要所での音楽タイミング等も効果的で最後まで飽きさせません。マッタリ〜となりがちな“好いた惚れた”もサクサクと、無駄な描写はほとんど無くラストのマーチング・バトルまで、あ!という間です。管楽器の耳から頭のてっぺんに抜ける高音も、身体に響く低音も、腰が自然と動き出すリズムも、その全てが気持ち良く、ドラム合戦の迫力も十分!エネルギッシュなパフォーマンスは一見の価値があります!何処かのCMがパクリそうなんだよなぁ(苦笑)。それにしても奨学金付きでスカウトとかするんですねぇ・・・全く知りませんでした。確かに、そんなに上手い連中が自然と集まるワケは無いわな(苦笑)。さすが!エンターテインメントの本場は違うわ。しかしEW&Fに「古〜い!」とブーイングが出て、「オールディーズは好きかぁ〜」で1970年ですか・・・トホホ(苦笑)。
新手の映像技法を使ったアニメ映画です。簡単に言ってしまえば実際の人物の動きをCGに変換し、さらにセル・アニメーションで仕上げたってコトになるのでしょうか?まぁ。映像はそれなりに「ほほぉ〜」と思えるようなタッチも感じますし、予告編からちょいと気になっていたSEもハリウッド並みの完成度です。しかし、あのウォシャウスキー兄弟も言ってるように、大事なのはハードではなくソフトです。ファミコンを追い落とす為に幾多のゲームマシーンが挑戦しては消えていった歴史的事実。そのファミコンを駆使してゲーム界の巨人に上り詰めた任天堂をプレイステーションで追い落としたSCE!こう書くと、一見ハード本体で勝ち上がったようにも見えますが、それは大きな誤解です。要は良質なソフトを提供出来るかどうか!?つまり、SCEが『DQ』と『FF』の両ソフトを獲得した時点で勝敗はついていたワケです。『イノセンス』もそうでしたが、この映画も映像的には観るべきものはありますが、作品の出来としてはどうなんでしょう?決してストーリー自体がつまらないワケではありませんが、いかんせんキャラクターが平板で薄っぺらいことふぐ刺しの如し。『イノセンス』の深すぎて?意味不明になってしまった内面描写と、この映画の分かり易いストーリーが融合すれば多少は面白くなったんじゃないでしょうか?って、いいのかこんなマトメで(苦笑)。さてと『キャシャーン』はどうなんだろうなぁ・・・・ボソ。
PFFのスカラシップ作品『バーバー吉野』。ナンだか自分の小学生の頃を思い出してしまいました(苦笑)。だって、この映画で描かれている“吉野刈り”とは、あの頃の“ぼっちゃん刈り”でしょう?古いしきたりの中に異端が紛れ込んで・・・というのは王道パターンのストーリーですが、それが“少年の髪型”というのに魅力を感じてしまい、予告編から気になっていました。前半は子供たちも瑞々しく、けっこう面白くて期待したんですが、物語が進むに連れ意外と平凡な展開なので、ちょっとガッカリ(苦笑)。たぶんに演出力の無さもあるでしょうが、あまりに予定調和なストーリーなので盛り上がりに欠けます。ところどころにオペラや合唱曲が使われているんですが、いまいちピンときませんでした。監督はこれが初監督の荻上直子。子供たちの間を生かした演出は悪くないだけに、今後に期待しましょう。
オイラは美大出身ですが、この絵を描いたフェルメールという画家のコトは全く知りません。モグリの美大生と言われても仕方ないですな(自爆)。まぁ、美大なんて画家の名前なんか知らなくても、それなりに絵が上手けりゃ入れますからね(自爆)。でも、毎回も言ってますが、絵画って興味ないんですよ(⌒o⌒;A。海外の主要な美術館にはそれなりに顔を出してますが、いつも順路に従ってサクサクと歩いて終わりです(>_<)アチャ!おそらくフェルメールの名前も何度か耳にしているとは思うのですが、興味がないから忘れてしまうんでしょう。まぁ、先天的な絵画音痴なので許して下さいm(_ _)m。で、この作品です。とても静かな作品で、ストーリーに大して起伏はありません。“心まで描くの・・・。”というキャッチでしたが、それもピンと来ませんでした。“真珠の耳飾りの少女”のモデルになる使用人・グリートに色彩的才能があり、それがフェルメールに影響を与える・・・という部分もピンと来ませんでした。それでも、この映画にはとても良い印象を持ちました。起伏が無い分、それぞれの役者の表情で作品を支えているのですが、演出(これが初監督作のピーター・ウェーバー)が粘り強く、実に魅力的な表情を引き出しています。グリートを演じるスカーレット・ヨハンセンの微熱っぷりにも見惚れていましたが、ただ一人、強烈な印象を残すフェルメールの妻役のエッシィ・デイビスも中々のモノです。また、美術とライティングが本当に素晴らしい!美術はグリーナウェイ組のベン・ヴァン・オズ。最近作は『アドルフの画集』。撮影のエドゥアルド・セラはルコント作品で知られ、最近作は『奇蹟の輝き』『アンブレイカブル』『薔薇の眠り』です。撮影に関してはコダックとフジの両フィルムを使用したらしく、トーンが変わる部分がちょっと気になりますが、許せる範囲です。地味ですが、マッタリと有意義な時間が過ごせる作品になってるんじゃないでしょうか。
ナンだか『みつばちのささやき』の今風アレンジ・・・みたいな趣きでした。コレはコレで悪くない設定ですし興味深いとも思うのですが、ところどころで描こうとしているテーマから逸脱します(苦笑)。無駄な描写が多すぎて、まるで“酒酔い”一歩手前の“酒気帯び運転”のようです。まぁ、そのフラフラっぷりも決して不快ではないんですけどね(苦笑)・・・イタリア人気質というか、何処かのんびりしています。以前、イタリアに行ったときのコトです。ドコゾの観光地で友人と二人で歩いていたら、前方から男が駆けてくるではありませんか・・・それは全速力というより、タッタッタッタ!っつー感じの・・・どこか呆けているような(真剣さが感じられないという意味です)走りでした。すると男は友人の前で自然と減速し、友人が「え?」と面食らっていると、サッ!っと友人のショルダーバッグに手をかけ、あれよっとぉ〜!引ったくり、んでもって、来た時と同じようにタッタッタッタ!っと私達の後方に逃げて去ってしまったのです。そのあまりにトボケタ手際に、二人とも追うのも忘れてポカ〜ンと口を開けてしまいました。まぁ、これもそんな香りのする映画です(って、わかんねぇ〜(苦笑))。監督は『エーゲ海の天使』でアカデミー外国映画賞を受賞したガブリエーレ・サルヴァートスでした。
コーエン兄弟の新作『ディボース・ショウ』です。なんだかどうってコトないコメディですなぁ。それなりに面白いですが、別にねぇ(苦笑)。ジョージ・クルーニーは『オー!ブラザー』の時は鼻についた演技にしか見えなかったんですが、今回はとても魅力的です。同じくゼタ・ジョーンズもゴージャス感タップリで嵌っているんですが、ストーリーやキャラが平板で面白味に欠けます。英語に堪能な友人が「難しいセリフが多くて、さらにその訳が酷すぎる」と言ってましたが、全く英語の出来ないオイラでもセリフの内容が噛みあってないような、妙な間の悪さは感じました。しかし、コーエン兄弟とは思えないあまりに素直な作品・・・今までの自分達の作品を目を開きっぱなしにさせられて延々と見せられでもしたんでしょうか(苦笑)。解せないなぁ・・・・ボソ。
前作が評判良かった(ホントかよ!)らしく、その第二弾で『Jam Films 2』。今回は一話30分で4人の共作です。
一体このタイトルはなんなんだ?っつーコトで『卒業の朝』です。これはそんじょそこらの学園モノでは御座いません。そりゃ、マイケル・ホフマンの演出にメリハリが無く、ほとんどケビン・クラインの演技で持たせている映画ですが、しか〜し!その脚本は素晴らしく、先生と生徒を扱ったストーリーとしてはかなりの傑作と言っても過言ではないでしょう。あ、映画の出来じゃなくて、ストーリーの展開の仕方ですよ。だからもったいない!もったいなくて悔しいです(苦笑)。「こうなるんだろうなぁ・・・・」と観ていたら、良い意味で最後まで裏切られました。人の生き方は人の数だけあるものです。何が正しくて、何が正しくないのか?それは誰にも分かりません。自分の人生ですから、自分の信じる道を行くだけですが、それも中々出来ないモノです。ケビン・クラインの最後のセリフが忘れられません。何を書いてもネタバレになる可能性があって、上手いコト書けませんわ(苦笑)。それにしても、何で『卒業の朝』なんだ?原作の『宮殿泥棒』ってのもわかんないなぁ・・・ボソ。
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