Deckard's Movie Diary index|past|will
『アモーレス・ぺロス』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督、最新作にしてアカデミー主演男優、助演男優、主演女優賞の候補になった『21g』です。ひたすら重く暗く、その上恐ろしく魅力の無いストーリー。なんなんですかね?この映画は?目先を変えているだけのカットバック手法にも、いい加減うんざりました。この鬱陶しい梅雨空にお似合いの映画とも言えますが、観たくねぇ〜!っつーの(◎`ε´◎ )ブゥーー!まぁ、予告編からけっこうヤバかったですから、オイラの自業自得ですな(苦笑)。アカデミー賞候補になった3人の演技は見もの(特にナオミ・ワッツが素晴らしい!)ですけどね。脇でクレア・デュバル、シャルロット・ゲンズブールが出ていました(21ヘェ)
とにかく熱い映画でした。その上、女性はほとんど登場しないので“男臭い”ったらありゃしない!さらに!所謂“いい男”も一人も登場しません(苦笑)。ストーリーは30年以上韓国の歴史に封印されてきた暗い真実を暴く骨太な物語です。主要キャラクターの心情はワンパターンではなく、それぞれが深みのある人物像に描かれています。ただ、日本人のオイラが観ると「何でそうなるの?」と、ちょっとわからないエピソードがあったりして、後半になるとある程度は理解出来るんですが・・・おそらく韓国人の方が御覧になると、日本人にはおいそれとは理解出来ない複雑な感情の動きがあると思われます。気になったのは映像センスが古臭く(30年前の雰囲気を出そうと思ったワケじゃないでしょうけど・・・)全体にチープな印象です。また韓国映画にありがちな映画話法の未熟さというか・・・この映画に関しては、訓練の時間経過があまり感じられませんでした。それでも歴史の闇に葬り去られた彼らの悲惨さ、やるせなさは観ている者にひしひしと伝わってきます。それは明らかに今現在のコリアンパワーの成せるワザなんでしょう!『オアシス』、『殺人の追憶』、そしてこの『シルミド』と映画制作に賭ける姿勢は羨ましい限りです。う〜ん、マジで邦画も頑張ろう!さて『ブラザーフッド』はどうなんだ?
『デイ・アフター・トゥモロー』・・・ロスが竜巻に、NYが洪水に見舞われるシーンを大きなスクリーンで観るだけでもうほとんど満足(笑)。物語りはもったいぶることなくさくさくと進み、「おお!すげぇ!」ってな映像を連発してくれます!中盤までに怒涛の迫力映像で十分満足させてくれるので「そりゃオカシイだろ!」なんてツッコミは野暮ってモンです。人間ドラマは平板ですから、旅の途中で“キリストで無言で語り合う”なんてシーンはありません(笑)。まぁ、ブラッカイマーならいざ知らず、なんせエメリッヒなんですから、泣けるわけがありません(笑)。というワケで映画は満足だったんですが・・・劇場入り口で最大級のバカチン竜巻に遭遇してしまい、危うく噴火するところでした(って、噴火しちゃったのか?)
『トロイ』です。はっきり言って“トロい”映画です。捻りがなくてすみません。とにかく長いですよ!大作感なんか捨てちゃって2時間程度にまとめておけば良かったんじゃないですか?でもこの映画で一番ダメなのは、ブラピ扮するアキレスのキャラです。どうしてそこら辺に居るようないい人にしちゃったりするんでしょうか?この辺りの描き方が最近のハリウッド大作ってつまらないんですよ!その他のキャラはそれなりの人物像に描かれているのに、肝心のアキレスが中途半端だから腰砕け状態です。だって月星(今はムーンスターとか言うんでしたっけ?)と並んで子供靴で有名なアキレスですよ!もっと強烈なキャラに描いてくれなきゃ、「わ〜い!アキレスの靴だぁ〜!」なんてはしゃいでいた自分がアホみたいじゃないですかぁ!そんなんだったらさっさと木馬を出せよ!
どういうワケかリュック・ベッソンが絡んだ『クリムゾン・リバー2/黙示録の天使たち』です。ベッソンが絡んだんですから、初めから期待値低目の設定で臨みました(笑)。初っ端から意味ありげな殺人が続きますが、物語とはほとんど関係ありませんし、途中からストーリーは良く分からなくなっちゃうし、そんな理由でそこまで身体能力上がるかよ!とか、ラストは“今度はソレかい〜”とか、突っ込みどころ満載です!ドコゾでコージ・パウエルさんが「鷲のマークの大正製薬もビックリな一本ですぞ。」と書いていましたが、まさに座布団3枚の表現です(笑)。まぁ、映画の話しはいい加減にして(オイオイ…( ;・_・)ッ( ゚ー゚)ウキ…)、問題は隣に座った女性(独断推定32歳)です。この女性が信じられないくらい飛び跳ねるんですよ(驚)。まさにボディソニック状態での鑑賞でした(爆)。しっかし、マジであんなに驚く人は初めてでしたよ・・・椅子から10センチくらいは浮くんですよ!!だから「お、いきなりナンか出そうだぞ!」とオイラのアンテナが反応する度に毎回身構えちゃったので疲れましたわ(苦笑)あ、そうそう!懐かしのSTOOGESがガンガンかかっていたのは何故ですか?
職人ジョエル・シューマッカー監督、ケイト・ブランシェット主演『ヴェロニカ・ゲリン』。悪い映画ではありません。一介のジャーナリストが自らの命を顧みず麻薬の元締めを追及する姿勢は頭が下がります。ただ、ドキュメンタリー・タッチで進むストーリーはそれなりに興味深いのですが、ほとんど思い入れが出来ません。単にスクリーンに映し出される出来事を見せられているだけの印象です。30代後半まで一介のジャーナリストだったヴェロニカ・ゲリンが何故、このような危険なネタに手を出したのか?その一番大事な部分がないがしろなので、イマイチ彼女に感情移入出来ませんでした。つまり、そこまでやるのかよ!と頑張るヴェロニカ・ゲリンの動機が理解出来ないのです。子供たちが麻薬に犯されている事実に目を背けられなかった・・・というのなら、それまでの人生でそのコトを知らなかったワケじゃないと思いますし・・・オイラの思い過ごしかもしれませんが、“何か”彼女を駆り立てたモノがあるのではないでしょうか?その辺りの突っ込みが甘く、またヴェロニカの家庭の描き方もまた中途半端で、四苦八苦している彼女がどうにも浮いて見えてしまいました。ケイト・ブランシェットは相変わらず素敵なのですが・・・。ところで、この実話はつい最近のコトだったんですねぇ。全く知りませんでした(⌒o⌒;A しかし、こういったストーリーを探してくるジェリー・ブラッカイマーは相変わらず目が利きますねぇ(笑)。余談ですが、カメオ出演している人物の刺青が笑えます。
「あ、これパパ好きだよ!ウ○コー!」と叫んだのは、左斜め前方に座っていた親子連れ(母と小学生の姉妹)の長女(小学3年生くらい?)でした。慌てた母親は鬼の形相で娘を睨み付けて激怒!上映前の半分薄暗くなった場内で映し出される広告映像には“ウ○コ”の影も形もありませんでしたが、まさか、右斜め前方の渋谷系女子二名がズルズルやってたレンジでチンのスパゲティ(おそらくボンゴレとミートソース)の匂いを勘違いしたとか?とまぁ、普段のシャンテ・シネ劇場からは想像も出来ないキャラで埋まった、そんな不思議な空間で観るには最適な映画でした(笑)予告編で「寒ぶ!」っと、感じたギャグも全編を通して見ると全く寒くありません(笑)。原作は漫画(未読)ですが、この作品は“漫画”という(原作に合っているかどうかではなく)世界観を十二分に反映した類稀な傑作となっています。ガンマ値を上げた映像に濃いキャラが寒ぶいギャグを連発!ともすれば、ただ疲れるだけの映画になりがちなのですが、そんな心配は無用。観客は気持ち良く空を浮遊出来ます。観終わった後には、まるでサッポロ黒生で山崎努との卓球に勝った豊川悦司のようなガッツポーズ(中島哲也演出CM)をしたくなります(苦笑)。深田恭子はイっちゃってるキャラとかは天然に上手い(なんだこの表現)んですが、ラストで未熟さを露呈してしまったのは残念でした。映画初出演になる土屋アンナは演じやすいキャラだった事を差し引いても魅力的です。脇を固める役者陣も的確な演出に恐ろしくハマっており、どいつもこいつもメチャメチャヤバイ(誉め言葉(苦笑))です。しょーもないギャグやしょーもない登場人物ばかりですが、キッチリとケジメもつけているのでホロっと来たりなんかしちゃって・・・(⌒o⌒;A とても欲張った作品ですが全体のバランスが良いので全く違和感が無く、ゴテゴテしたデザインなのに品の良さを感じさせるドレスのようです。エンディングで聞こえてくる往年のジャパニーズ・ロック・ナンバーも好感触♪中島哲也監督は少なからず縁のある人なのですが、彼にこういったセンスがあるとは思っていませんでした。中島氏(巨漢。咽頭が弱くダースベイダーのようにいつもスーハースーハー言ってる。口癖は「オレの後ろに立つな!」ってゴルゴ13かよ!)の長編映画は『夏時間の大人たち』『ビューティフル・サンデー』に続いて3本目ですが、初めてのメジャー作品で傑作をモノにしました。『踊る世界の中心で〜』みたいな作品ではなく、こういう映画こそ世界配給して欲しいもんですなぁ。でもって、タランティーノの次回作『キル・ビル外伝』(←大嘘)でリスペクトしてくれれば最高なんだけどなぁ(って、そりゃないだろ!)
<ネタバレしています>
55年の『マダムと泥棒』のリメイク作品『レディ・キラーズ』はコーエン兄弟の新作でもあります。『マダムと泥棒』の主演はアレック・ギネスで、共演のピーター・セラーズが「アレック・ギネスって本当にコメディが上手いなぁ・・・」と感嘆したとかいう話がありましたが、今回のトム・ハンクスはアカデミー賞男優丸出しの怪演です(苦笑)。まぁ、トム・ハンクスに限らず残りの4人も濃ぃ〜キャラを作り出しているんですけどね。もちろん、映画自体も鬱陶しいくらいコーエン・コーエン(なんじゃ、そりゃ)しています。良くも悪くもコーエン節が炸裂していた『オー・ブラザー』『バーバー』に比べ、前作の『ディボース・ショウ』は口当たりが良過ぎてガッカリしていた諸兄にも今作は拍手を持って迎えられるでしょう。また、月1本程度を御覧になる映画ファンにも十分楽しめる作品になっていると思います。でもって、オイラみたいな捻くれモンは「なんだかなぁ・・・」となっちまう仕上がりなんですよ(自爆)。だからね“面白い”っちゃ、面白いんですけど、“なんだかなぁ〜”っちゃ、なんだかなぁ〜なワケですよ(わかんねぇ〜)。あ、そうそう!サントラは良さそうですよ。
韓国、タイ、香港の3人の監督が“臨死”をテーマに描くオムニバス・ホラー『THREE/臨死』。最初にスクリーンに映し出されるのは『反則王』で手堅い演出を見せた韓国代表・キム・ジウン監督作『メモリーズ』。とにかくドッキリ的“驚かし”ばかりでうんざり!当然のコトながら最大ボリュームのSEを伴いますから心臓に悪いです。この監督の次回作は韓国で大ヒットした『箪笥』ですが、このような演出が2時間も続くのかと思ったら、ちょっと勘弁ですなぁ・・・。またストーリーも意味有り気な描写が続きますが、深いモノは全く無くガッカリでした。二本目はタイ代表。『ナンナーク』『シャンダラ』(共に未見)のノンスィー・ニミブット監督作『ホイール』ですが、これは拙い・・・というか、演出もストーリーも全く魅力の感じない作品でした。途中で何度も眠たくなってしまい困ってしまいました(苦笑)。上記2本は“低予算”が画面にハッキリ映ってしまっているのも難点でしたが、ラストの『ゴーイング・ホーム』は、監督のピーター・チャン(『ラヴソング』)が映画全体のプロデュースも兼ねているので、一番グレード感がありました(って、どういう意味だよ(笑))。まぁ、撮影はクリストファー・ドイルですし、出演がレオン・ライにエリック・ツァンですから、それなりの出来は確保されたようなモンでしょう。前半部、子供の表情で観る者を不安にさせる演出が上手く(子供の表情も上手いんですよ!)、ついつい引き込まれます。ところが、途中から違う話になってしまったような印象です。プロローグ、本編、エピローグ、3つの部分のリンクが甘くそれぞれが別モノに見えてしまったのは残念でした。もう少し脚本を煮詰めて欲しかったですね。主演のレオン・ライは今までとは違った雰囲気を醸し出しており、見応えのある演技でした。最後に流れた歌も上手かったですよ。しかし、国は違えど“ホラー”というジャンルは似たり寄ったりの色彩設定、カメラアングル、編集なんですねぇ・・・ボソ。
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