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芝居では、主な登場人物のほかに、通行人とか、その他大勢の端役がある。 これはオペラなども同じ、バックコーラスや、背景の一部としての、一声も出さずに登場している人たちがそうである。 舞台の上でのそうした役回りは、人からは注目はされなくても、なくてならぬものである。そして、このような役を演じている人は、いつかは自分も、名前のある役につき、いずれは主役になると言う夢と、希望があるからこそ、いま自分に振り当てられた役を、懸命にこなしているのであろう。 でもこれは、舞台という、虚構の世界の話、実際に生きていく場で、その他大勢の一人というのは、いいものではない。 昔の話だが、「うちに遊びにいらっしゃい」と誘われたことがあった。 そのころ親しくなった人で、緊張するような間柄ではないので、気軽に訪れた。すると、私のほかに、2人の人が招かれていた。 全く知らないわけではないが、特に話をしたいような人たちではなかった。私と、彼女たちとの間には、何の接点もなかった。 私が、ちょっと咎めるような目をしたのだろうか、その人は言い訳のようにこう言った。 「この際だから、ついでに皆さんを招んだの」 せっかく、手間ひまかけて、人を招ぶのだから、前から招びたいと思っていた人たちを、この際いっぺんによんでしまおうと言うことだったらしい。 彼女なりに心を尽くしたらしいことは、卓上に並べられた料理の様子でも、分かった。 そしてほかの二人は、結構、喜んでいたように見えた。 私は、その人たちと、表面は、穏やかに振る舞ったが、内心、面白くなかった。 それなら、事前に言ってくれたらよかったのにと思った。 ごちそうなんか、何も要らないから、私は、水入らずで、じっくり話をしたかった。 こういう扱いを受けるのは、自分が粗末にされたような気がして、いい気持ちはしない。 私だったら、招ぶ人の組み合わせを考えて、事前に全員の了解を取るだろうと思う。 彼女がそれをしなかったのは、気軽なつきあいを許している私への、甘えだったかもしれないが、私を尊重してないと言うことでもある。 私は、彼女にとって、それだけの存在でしかなかったのだと、悟るしかなかった。 八方美人は、私は嫌いである。少なくとも、こういう人と、友達にはなりたくない。 私は、誰とでも、1対1でつきあいたい方なので、その他大勢の一員になることは、好まない。 自分がそのように扱われたと感じたときは、そこから遠ざかる。 舞台の端役だって、家に帰れば、かけがいのない父親であり、妻であり、息子や娘であるはずだ。 ついでに、とか、数合わせのために、誘わないでほしい。 私の、ささやかな五分の魂である。 2002年07月10日 01時07分51秒
梅雨明け宣言は出ていないようだが、寝苦しい夜が続く。 昨日の朝、朝顔の様子を見たついでに、周りの雑草を取ったり、門の前の落ち葉を掃除したりして、1時間ほど働いた。 こんなことは、日頃「秘書」の仕事になっているが、いない間に、たまにはやっておこうと思ったのである。 ところが、その間に腰の痛みが出てきてしまった。腰痛は、このところ、私の持病になりつつある。 午後、パソコンを覗いたあとで、椅子から立ち上がったとき、ビリリと痛みが走り、これはいけないと、やっとの思いで、横になったが、しばらく起きられなかった。 腰痛を治すには、これがいいという決定打はないようで、私も整形外科には、何度も行ったが、結局、西洋医学では、治らないものと悟り、自己流で、痛みとつきあう工夫をしている。 腹筋、背筋を日頃から鍛えておくこと、これはうなずける。 無理な姿勢を取らないこと、長時間、同一姿勢を続けないこと、これらももっともである。 私は、40代の半ばで病気をして、大量のステロイドを投与されているので、医者から「骨がボロボロになります」と言われていた。 でも、その後、健康には人一倍気を付け、生活面でも節制して、「骨量は年齢平均より1割方多いです」と言われたのに、今頃になって、腰痛に悩まされるというのは、老化現象かもしれぬ。 「秘書」は、運動不足だという。あちらは、週2回のスポーツジム通いを欠かさず、おかげで、筋肉が付いて、体が締まってきたと自慢している。 熱帯夜と、腰痛のせいで、一晩浅い眠りを過ごした。 明け方夢を見た。ある人と、長い道を歩きながら、ずっと語り合っている夢。 たばこを嗜まないその人が、何故かたばこをふかしている。 野上弥生子は、晩年、哲学者田辺元と、深い交流を持っていた。 単なる男女の結びつきを越えた、信頼感と友情で結ばれていた。 弥生子は、毎日のように田辺のもとに行って、哲学や、思想を語り合うのを楽しみにしていたという。 また、中野重治と、佐多稲子の、同志的つながりも、知られた話である。 こうした、プラトン的な愛、究極の結びつきは、その人たちにして、はじめて持ち得たものであろう。 現実には、そして凡人には、なかなか出来ることではあるまいが、私の理想とするすがたであり、夢でもある。 2002年07月09日 09時26分58秒
ジョク暑、溽の字は、パソコンにないので、手書き入力せねばならない。 じめじめした今頃の暑さ。こんな時期の風は、ジットリと水分を含んでいて、あまり心地よいものではない。 夕べ、寝るのが遅かったので、今朝は9時過ぎまで寝てしまった。 雨戸を開けるとき、見ると、窓際の鉢植えが、だいぶ、乾いている。 食事前に、ひとしきり、庭の水撒き。 朝顔は、順調に、蔓を巻き始めている。雑草も気になるが、明日連れあいが帰ってくるので、仕事を取っては悪いと、そのままにしておく。 今日は、深川の連句会に行くつもりで、支度をしていたが、昨日の外出で疲れていたし、この暑さでは、ちょっと出かけるのもおっくうになり、出がけに電話がかかって、出遅れたのをいい口実にして、休んでしまった。 始まったばかりの、私のボード連句の行方も気になる。 深川に行って来た人の話によると、いつもより人数が少なかったが、先生ご夫妻は、見えて、元気だったとのこと。残念なことをした。 いったん出てしまえば、元気で目的地に行くのに、出るまでの時間が、かかること、かかること。 靴を履いては、一つ忘れ、鍵をかけたあとで、気になることを思い出したり・・。 そんなことをしているうちに、よけい暑くなり、だんだん気分もブルーになってきて、「やめるか」と言うことになってしまう。 このごろ、つくづく、年を感じる。 連れ合いのいない2日間、だいぶ家事を怠けてしまった。明日は、家の中の掃除をしなければ・・。 2002年07月08日 02時11分08秒
歳時記では、日付けの上で、晩夏になった。 梅雨明けも近く、これからが夏本番だというのに・・。 昨日あたりから蒸し暑い。連れ合いは週末を過ごしに八ヶ岳近くへ。 「涼しくていいよ」と電話をかけてきた。 電話口で、ガアガアと機械の音がしたのは、敷地内の雑草を刈ってもらっているからだという。 私は、週末に用事があり、あちらは、ウイークデイに約束があるとかで、予定が合わず、別行動である。 テキの魂胆は、私にご飯を作らせて、ゆっくりしたいのだが、こちらは、暑い東京に一人でいる方が、リラックスできる。 今日は、一日外出、夕飯の支度をしなくていいので、帰りに沿線の駅で、ショッピング。 ほしいものもないので、自分の食料だけ買って帰った。 人に貸した本が返ってきた。手紙を挟んであったのが、そのままになっていた。 ただの送り状だが、気づかなかったと見える。ちょっとがっかりした。 2002年07月07日 00時46分40秒
7月6日は、なにやら新種のウイルスが活動する日なので、注意を、と言う知らせが入っていた。 私のパソコンには、ウイルス防御ソフトが入っていて、毎日のようにアップデートしているが、これだけ、人の愉しみに水を差すウイルス君とやら、何がよくて、そんなことを繰り返すのかねえ。 それだけの知識と頭脳をほかのことに使ったら、世界を救うことだって出来るかもしれないのに。 セキュリティを強くしたら、ある人から送られてきた、必要なファイルまで、自動的に、削除されてしまった。 もう一度ファックスで送ってもらい、お詫びのメールを送ったが、全く困ったものだ。 門戸を開けば、招かれざる客が入り、ドアを閉めると、来てほしい人を、シャットアウトすることになる。 おかげで、ページは重くなるし、便利なはずのメールも、知識の長けた人ならどこからでも読み込み可能とあっては、うっかりしたことは書けず、機械のごとき無味乾燥なものになる。 もっとも、そもそもメールで、ラブレターなど書こうとする方がおかしいのだろうが、大事な人へ、心情を込めたメッセージを書くなら、元のように、封書の手書きで、と言うことになりそうである。 住所、本名、電話番号などの個人情報も、個人のメールから漏れることがあるとのこと、それらをセットで書き込むことは、セキュリティの点でキケンと聞いた。 私は、ひとの個人情報を、断りなしで、第三者に知らせたりはしないが、そういうことに、あまり神経を使わないひともいるので、自分の情報が、知らない間に、往き来している可能性はある。 面識のないひとから、いきなり、本名で使うアドレス宛にメールが来ると、誰が教えたんだろうと、ビックリする。 ネット上のことなら、ホームページに表示してあるアドレス宛に来るはず。 私のアドレス帳には、本当に必要な人のものしか入っていない。15人くらいのもの。 ファイルにも、住所や電話番号は、入力しないことにしているし、複数のひとに同時にメールを送るときは、なるべくBCCを使うようにしている。 でも、それだけ用心していても、悪知恵の長けたひとには、かなわないだろう。 利便性と危険が裏腹に存在するネットの世界、自分とそれにつながる人たちのプライバシーを守りつつ、どこまで愉しむか、考えさせられることではある。 2002年07月05日 08時23分48秒
雨の日が続いて、時に、セーターを着たくなるほどの冷えもあったのに、今日は、じっとりと汗ばむ日だ。 そろそろ梅雨明けも近いのかもしれない。 私は、冷房嫌いで、室温30度までは、クーラーを付けない。 一昨年、台所の隣に、6畳ほどの小さな書斎を建てたが、冷暖房の設備をしなかった。 四方に窓を付け、夏は開け放ち、自然の風で凌ぎ、それでも我慢できないときは、隣の居間のクーラーの余波で、何とか過ごす。 寒さには強いので、冬は、足元の電気ストーブと、小さなホットカーペットで、間に合わせる。 パソコンをいじるときと、壁一面に作りつけた本棚に用のあるとき以外は、書斎に入りきりと言うことはないので、間に合っている。 書斎に面した窓に沿って朝顔を這わせようと、棒を立て、ネットを張ったが、今日見たら、蔓が巻き始めている。 やがて、ブルーや紫の朝顔が、私の書斎の周りに咲くはず。楽しみである。 毎週の木曜講座、今日は、「歎異抄」に関する話であった。 白南風や懸案事項片付きて まがごとも忘れさらるる溽暑かな 2002年07月04日 17時10分25秒
連れ合いが、脳のCTスキャンを受けてきて、「ショックだよ」という。 本人の気づかないうちに、微量脳梗塞があるとのこと、脳の縮みもあるそうで、「いよいよキタか」と、悄げている。 でも、よく訊いてみると、年齢的に、ごくふつうに見られる程度のことらしく、たまたま、パソコンをやっているとき、腕が痺れるので、気にして、いつも行っている開業医で、診てもらった結果のことだった。 はじめは頸椎か、肩か、と言っていたが、念のため、CTを勧められたのである。 検査しなければ、判らずにすんでいたところだった。 原因は、どうも酒の飲み過ぎらしいというので、好きな飲酒も、減らすと言う。 「若いときから、あんなに呑んでて、何もなかったらおかしいわよ」というと「君は、思いやりがないなあ」と、がっかりしたらしい。 連れ合いと酒は、女房の私より、縁が深いのではないかと思う。 私は、父親が酒飲みだったので、結婚するなら一滴も呑まない人がいいと思っていたが、若気の至りで、酒飲みと一緒になってしまった。 連れあいの父も酒飲みで、だいぶ母に苦労をかけたらしく、連れ合いも、自分の母親の前では、ほとんど呑まなかったらしいのに、女房ならいいと思ったのか、本来の酒飲みの血が出てきたらしい。 最近、自分の酒の量がコントロールできなくなったようで、外で呑むと、悪酔いすることが多くなった。 「禁酒日」などを設けていたはずが、いつの間にか、「毎日が飲酒日」になっていた。 私も、お酒は嫌いではないし、かなりイケるほうである。しかし、過ぎた酒が、体にいいはずはないことは、よく分かる。 痴呆の原因の一つに、過度の飲酒というのも、指摘されている。 でも、そんなことをいくら言っても、酒飲みというのは、馬耳東風、スキャンで示されて、ビックリして、初めて、認識するのだろう。 本人がショックを受けているのに、重ねて言うこともないので、知らん顔していたら、気を取り直し、夕べは、「適度の酒はいいらしいよ」などと言い、寝酒を飲んで安眠していた。 そして、今日は、スポーツクラブに出かけていった。 2002年07月03日 12時05分14秒
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