あるところに大きな頂があった。 その下の森に二羽の鳥が生まれた。 一方は大きな翼を持って生まれ、 もう一羽は小さい翼だった。 巣立ちが来て大きな翼は不器用ながら空へ飛び出し 小さな翼は必死に羽ばたいて空を飛んだ。 人が当たり前に歩けるように、毎日飛ぶうち大きな翼は 大きな翼のおかげであまり羽ばたかないでも楽に飛び 小さな翼は一生懸命羽ばたかないと相変わらず飛べなかった。 それでも小さな翼は何とか大きな翼と一緒に飛ぶのだった。 もう十分に大人になった大きな翼は「あの頂を越えてみよう」 と小さな翼を誘うのだった。 小さな翼は自信はなかったけれど、自分も飛んでみたいと思った。 大きな翼と小さな翼は大きな森の切っ先から 朝一番に飛び立った。どんどん高く飛んでもう少しで頂だというところで 「もう駄目だ、僕はもう飛べないよ、大きい翼一人で行ってくれ」 そう言うと小さい翼は羽ばたくのをやめてしまった。 大きな翼は羽ばたかなくても、もうずっと飛びつづけることが出来たので さらに高く飛んでいく。 でも大きな翼は頂を越えられなかった。羽ばたく練習を あんまりしていなかったので大きな翼が強い山越えの風に 折れてしまった。 小さな翼はあきらめて、大きな翼は二度と飛ぶことは出来なかった。
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