じゆうなまいにち

2002年03月19日(火) つばさ

あるところに大きな頂があった。
その下の森に二羽の鳥が生まれた。
一方は大きな翼を持って生まれ、
もう一羽は小さい翼だった。
巣立ちが来て大きな翼は不器用ながら空へ飛び出し
小さな翼は必死に羽ばたいて空を飛んだ。
人が当たり前に歩けるように、毎日飛ぶうち大きな翼は
大きな翼のおかげであまり羽ばたかないでも楽に飛び
小さな翼は一生懸命羽ばたかないと相変わらず飛べなかった。
それでも小さな翼は何とか大きな翼と一緒に飛ぶのだった。
もう十分に大人になった大きな翼は「あの頂を越えてみよう」
と小さな翼を誘うのだった。
小さな翼は自信はなかったけれど、自分も飛んでみたいと思った。
大きな翼と小さな翼は大きな森の切っ先から
朝一番に飛び立った。どんどん高く飛んでもう少しで頂だというところで
「もう駄目だ、僕はもう飛べないよ、大きい翼一人で行ってくれ」
そう言うと小さい翼は羽ばたくのをやめてしまった。
大きな翼は羽ばたかなくても、もうずっと飛びつづけることが出来たので
さらに高く飛んでいく。
でも大きな翼は頂を越えられなかった。羽ばたく練習を
あんまりしていなかったので大きな翼が強い山越えの風に
折れてしまった。
小さな翼はあきらめて、大きな翼は二度と飛ぶことは出来なかった。


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kokopelli [MAIL]

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