じゆうなまいにち

2002年07月30日(火)

崖の上に住む人がいた。
その人は広がる足元の大平原に何があるのか知りたかった。
崖の下に住む人がいた。
その人は崖の上に何があるのか見てみたかった。
二人は同時にそれぞれ崖を上がりそして下った。
下るのは足元が今にも崩れそうで恐ろしかった。
上がるのは手元が掴むのが難しく息が切れそうだった。
それでも二人は何とか半分ずつ上がりそして下った。
崖の下の人に崖の上の人は声をかけた。
「あなたは崖の下から来たのですか」
崖の下の人はその声に驚き手を滑らし落ちてしまった。
崖の上の人は落ちたのを見て怖くなり崖を降りるのをやめ
崖の上へと戻ってしまった。
崖から大平原に人が行き来をするようになったのは
それからまだ三百年の後のことだった。


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kokopelli [MAIL]

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