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海老日記
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2005年06月26日(日)
物部日記・悪魔の囁きと背油の再臨


 今日、初めての集中講義を受けてきた。疲れた
 で、今から朝倉に行ってくる。疲れる。

 こんな日はどんな晩御飯食べようかな、とか考えて冷蔵庫の中身を見る。あるのは卵と魚肉ソーセージ。それはそれでおいしい料理を作れると思うのですが、なんかそんな気分ではなかったのです。

 で、スーパー行きましたスーパー。
 自転車で二十分。歩くと四十分。

 でもお財布くんと話すとそんな高いもの買えねえぞゴルア、と言われてしまい迷っている。


 そんな時だった。





 視界の端を、何かが横切った。
 眼球が自然とそれを追う。そう、そこには安売りの文字と共に一つのパックが置いてあった。



 豚細切れ肉。


 か、買うのか俺?

 あの、忌まわしい記憶が蘇る。
 台所中が白くなった、あの豚の背油のことを。
 とてもじゃないが、今の私の生活リズムでは同じことを起こしてしまう。ただでさえ台所洗剤を切らしているのに(そして洗剤を買うお金すらないのに)


 今あるのは、豚肉ワンパックを買う小銭のみ。

 ……いやいや、そのお金でペットボトルお茶が買える。二リットルだぞ二リットル。それだけ物部は十年は戦える。

 しかし、なぜか豚肉を買いたくて仕方なかった。
 こう、腹のそこからこみ上げるあかいものが頭のてっぺんまでのぼりきったような、奇妙な高揚とともに、なぜか冷しゃぶが食べたくて仕方ない。何のサブリミナル効果だこれ!
 悪魔のささやきは聞こえてくる。


 ――汝、お茶を捨てて豚を煮よ
 

 煮ちゃだめだ。煮ちゃだめだ。


 ――豚を煮よ。


 く、どうする。
 右手は今にも、豚パックを掴もうとしていた。