ルンバの姿が見えないのに気がついて、 「ルンバ、どこー?」 と寝室に探しに行ってみた。
するとそこには、仰向けに寝転んだ状態でクッションを顔に乗せ、息をひそめるルンバの姿。 「?」 彼の態度を疑問に思いながら、 「ルンバ?」 と話しかけるけれど、ルンバは呼びかけに反応せず、ただただジッとしている。 どうやら、隠れているつもりらしい。
顔の上にクッションを乗せたことで、ルンバからは周囲の景色が完全に見えないわけだから、それで自分の姿も周囲から見えなくなっているのだと思っているのだろう。しかし現実は、隠れているのは上半身だけで、下半身は丸見えである。まさに頭かくして尻かくさず。
面白いのでしばらくだまされてやることにした。 「あれっ、ルンバ、どこー? おかしいなあ、ルンバがいなくなっちゃった。どこかなあ…」 困り果てた声を出しながら、ルンバを探しているフリをする私。そして相変わらず、彼なりに息をひそめ、身動き一つしないルンバ。きっと心の中では、 「ママってば、僕がここに隠れているとも知らずに、ふふふふふ…」 とほくそ笑んでいるに違いない。それを想像すると笑いが込み上げて来たけれど、必死でこらえる。
しばらくルンバを探し続けると、 「ばあっ!」 とクッションをはねのけて飛び出てきた。 「わあっ、びっくりした!」 と答えてやると、満足そうな顔。 こういう可愛いお間抜けぶりは、なるべく長く持続してもらいたいものである。
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