Leonna's Anahori Journal
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2009年09月08日(火) 私信風に

 
Kさんへ

おととい「グラン・トリノ」を観てきました。
目黒シネマという名画座で観たんだけど、映画好きの良心を感じさせる
古めかしいけれど気持ちのいい映画館でした。
頑固じじいを演じても、かっこ良すぎるイーストウッドでした。

でも、あの隣に住むモン族の少年は、あれは狂言回しですよね。
主人公はアメリカ人の爺さんなんですよ。
死ぬ前にするべきことがあるような気もするけれど、いや、わしゃあ
これでいいんじゃ、いいんじゃーい、という
茫漠とした悩みにすっぽりと包まれて息苦しそうな、あの頑固爺さん。

だから、爺さんはあの少年に感謝の気持ちでいっぱいだったと思う。
いくらしても、したりないくらいの感謝をね。
だって誰かのために何かをしたくたって、その誰かがいなければ、
それはできないのだから。
お節介も、させてくれる人のあればこそ。
そういう意味では、爺さんはこれっぽっちも自分を犠牲になんかして
いない。むしろ幸せを感じていたと思います。
(もし涙が出るとしたらこの幸せに対してですが、今回私は泣きませんでした)

隣に住むモン族の家族がアメリカ中西部へやってきた理由が、
「ベトナム戦争で米国に協力して故国に住めなくなったから」というのが
社会派監督イーストウッドらしい、上手い背景の作り込みだと思ったけれど
でも、「グラン・トリノ」、社会派してましたか?
私には、社会派というより、
相変わらずの「ロマンチストなイーストウッド」って感じでした。
そういうイーストウッドが大昔から好きだったのだし、そういうところは
少しも変わってなかったな、と。
甘甘爺さん(笑)
 
 
 
 





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