夢見る汗牛充棟
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「鬼と天皇」白水社 大和岩雄著
661 斎明天皇(天智・天武の実母)筑紫 朝倉宮(福岡県 朝倉郡 朝倉町) 5月9日 移り 7月24日 死亡 8月1日 葬儀 夕刻、朝倉山の上 「鬼ありて 大笠を着て、喪の儀を臨み見る。衆みなおかしぶ」(日本書紀)
●「鬼」〜奈良時代までは「もの」「しこ」 平安以降「おに」と読む。
「その国に、多に蛍火の輝く神、及び蝿声す(さばえなす)神あり。また、 草木ことごとく能く言語(ものいうこと)あり。故、高皇産霊尊(たかむすびのみこと)、 八十諸神を召し集えて、問いてのたまわく。「吾。葦原中国の邪しき鬼(もの)を 祓い平け(むけ)しめむと欲う。(おもう)まさに誰を遣わさばよけむ」…(日本書紀)
「蛍火の輝く神」=悪しき神
蛍火=鬼火
鬼火…●燐火。人及び牛馬兵の死するものの血が化する所也。 ●人だまや狐火。 ●鬼が口から吐いたり、鬼が自分の目的を達するために発したり、使用する武器の一種。 ●朝鮮では鬼火、火の玉自体が鬼、妖魔。 ●中国〜血が百日経って燐・鬼火となる。 ●怨霊とみる
物思へば 沢の蛍も わが身より あくがれ出づる 魂かとぞ見る (和泉式部)
「雷」=鬼 イザナキの尊がイザナミの尊の死体を見た時 上に八色の雷あり。イザナキは驚いて逃げ帰る。雷はイザナキを追いかけた。 イザナキが逃げる道の脇に大きな桃の木があった。イザナキはその木の下に 隠れ、桃の実をとって雷に投げたので、雷は退いた。これが桃をもって鬼を防ぐ 由来である。(日本書紀)
桃が邪気を祓う呪力を持つという観念。(起源は中国)
「日本書紀の鬼の記事の分類」 1.天皇の神話上の源郷「高天原」の神に討たれるべき「葦原中国」の「邪しきもの」と諸の順はぬ鬼神。 2.天皇勢力に反対した蝦夷や異人種(みしはせびと) 3.朝倉山の神の祟り
●名を傷つければ実体が傷つき、その名を言えばその実体が現れる。という思想。 忌むべきもの、恐ろしいものを明らかな名をもって呼ぶことを避ける。
●真名
●付喪神〜器物なども百年経つと霊魂が宿り生き物(妖怪)になる。〜日本の俗信
これも、鬼神であり「もの」。
「大物主神」=「いだいな「もの」(鬼)の主」 天神でなく地神(国つ神)の代表格。⇒天皇に対して祟る神。 天皇の治世において疫病を流行らせる、祟り神。 鬼神を祀るのは鬼神の子でなければならない。
これらの価値付けを行っているのは天神(天皇)の側です。
●「吾は、悪事も一言、善事も一言、言離つ神。葛城の一言主の大神ぞ。」(古事記)
一言主大神〜「土蜘蛛」(順わぬ鬼〜モノ)たちの信仰した「順わぬ鬼神」
●山人・山神=目一つ=作金者と関わる 山神はニ生贄を求める(鹿・牛・田造るひと
●スケープゴート:全ての災厄・罪・汚れを背負う その血で五穀の育成豊穣をもたらす。
酒呑童子(息吹山)
土も木も我が大君の国なれば いづくか鬼の宿とさだめん
『大江山しゅてん童子(絵巻)』 『太平記』 天智天皇の御世に藤原千方と云う者ありて、金鬼・風鬼・水鬼・隠形鬼という四の鬼を使えリ。 金鬼は其の身堅固にして、矢を射るに立たず。風鬼は大風を吹かせて、敵城を吹き破る。水鬼は 洪水を流して、敵を陸地に溺らす。隠形鬼は其の形を隠して、俄に敵を拉ぐ(とりひしぐ)。 斯くの如くの神変、凡夫の智力を以って防ぐべきにあらざれば、伊賀・伊勢の両国、是が為に 妨げられて王化に順う者なし。ここに紀朝雄(きのともお)といいける者、宣旨を蒙りて彼の国に 下り、一首の歌を詠みて、鬼の中へぞ送りける。 草も木も我が大君の国なればいずくか鬼の棲なるべき 四の鬼この歌を見て、「さては我等悪逆無道の臣に随いて、善政有徳の君を背き奉りけること 、天罰遁るる処なかりけり」とて、忽ち四方に去りて失せにければ、千方勢いを失くしてやがて 朝雄に討たれにけり
●鬼退治談〜この国土は天皇の国だから鬼の住む処はない、との立場で描かれる。
「伊勢物語」〜人を食う鬼=天皇権力
●菅原道真〜鬼となり最大の鬼である天皇勢力に立ち向かう。 告文「天神・地祗、道真を憐れみて、部外の鬼となし、恨を畿内に晴さし給へと恐み懼み申す」 〜これは道真の作でなく、偽作〜 詩「君も私を罪ある人と見るならば、わたしは鬼神となって君を討つ。しかし君は私が無実で あることを知っているだろう」という意の詩を作っている。
●京都 神御霊神社・下御霊神社〜道真と同様な怨霊を鎮めるための神社 井上皇后〜775 謀反大逆の罪で幽閉中に毒殺。光仁天皇の皇后。 他戸親王(おさべ)〜光仁天皇の皇太子、謀反の罪で廃太子となる。幽閉中に毒殺。 早良親王(さわら)〜785 藤原種継暗殺事件に連座、皇太子を廃される。 乙訓寺に幽閉中飲食を絶ち憤死。桓武天皇の実弟。他戸親王の異母兄弟。
桓武天皇に係り、罪なくして死んだ者。
あわせて「藤原吉子」「橘逸勢(はやなり)」「文室宮田麻呂(ふみやみやたまろ)」 「菅原道真」「吉備真備」合祀。
●今昔物語(巻20・第7)「染殿の后」 真済伝説。〜真済が青い鬼となり帝に仇なした。
●15世紀中期『塵添あい嚢しょう』 「昔、飛騨の工が人形(木偶人)を作って働かせたが、この人形が 官女と契り、生まれた子を「木子」といった。この木子が内裏の 大工の木子氏の祖である…」
大工・木工・木地屋は根は同じ。殊に木地屋は漂泊の山の民である。 漂泊の山の民は農耕民族(おおみたから)からみては非人と同類である。 (被差別者ということ)
●「非人」の人形起源伝説… � ̄M杙奸^で楡玉世�人形を作り、一条戻橋の河原に捨てたところ 『非人』となった。 ��飛騨の工・武田の番匠が内裏造営の時に人形を作って働かせたが その時この人形が官女と契り子を産んだ。 また、仕事が終わり人形を河原に捨てたところ、牛馬を剥いだり 食べたりするのを生業とする『非人』となった
『日本書紀』(仁徳天皇65年条) 「飛騨国に1人有り。宿ナという。それひととなり、体ひとつにして両の 面あり。面、各(おのおの)相背けり。頂(いただき)合いて項(うなじ) なし。各手足あり。それ膝ありてよほろ踵(くびす)なし。力多(さわ) にして軽く捷(はや)し。左右に剣を佩きて、四つの手に並に弓矢を用ふ。 是をもって、皇命に随はず。人民(おおみたから)を(てへんに京)略 (かす)みて楽みとす。」
飛騨の山人は怪人・鬼とみなされ、皇命に従っていない者達。
●「おに」の語源。
鬼は平安以降に「おに」と呼ばれるようになった。それ以前は「もの」 平安時代中も「もの」「おに」と二様によまれる。 『和名抄』(931〜937)
4つの説
1.オニは古語ではなく。古くは神でも人でもない怪しいものをモノといい、 これに適合する漢字はなかった。モノは常には人の目に見えず隠れている ということから、オン(隠)の字音を用いるようになり、オニと転じた。
2.「隠」の字音から転じた語。(和名抄)「陰」の字音から転じた語か? (有力説)
3.オニは漢字の転音ではなく、日本古来の語で、常世神の信仰が変化して 恐怖の方面のみ考えられるようになったもの。
4.オは大きいの意。ニは神事に関係するものを示す語。オニは神でなく 神を擁護するもの。巨大な聖霊、山から来る不思議な巨人をいい、オホビト (大人)のこと。
『日本釈名』(貝原益軒) 「鬼、人死して、其の霊あるをおにといふ。おには俗にいわゆる幽霊のこと なり。陰(おに)は音をもって訓とせしなり。生ける人は陽なり、死せる人 は陰(おん)なり。また陰陽のたましひをも、おにかみといふ。 古今の序に、目に見えぬおにかみといへるがごとし。また陰邪の気をも鬼といふ。 おにやらひといふも陰邪の気を追いやることなり。天竺にて角有り牙出で、 其の形おそろしきものを夜叉といふ。日本の俗は夜叉を鬼と言ふ。一説おには 隠なり。おにかみは目に見えぬものなればなり」
●陰陽道と鬼 陰陽道〜中国の古い民間信仰。万物に陰と陽の二元的原理をたてそれに 「五行」と称する五つの元素的概念を組み合わせ、全ての存在、事象、現象 を陰陽と五行で解釈するので「陰陽五行説」という。 これを体系化して「易」と名づけた。→『易経』
中国ではこれが同じく民間信仰から発展した道教と習合。 日本においては仏教と習合した。
『今昔物語集』巻24の16 巻24の15
吉備真備(きびのまきび)陰陽師の祖といわれる。 『江談抄』巻3「吉備入唐問事」
式神(識神)しきがみ〜陰陽師の命に従い変化自在に不思議な術をなすという 陰陽師が使役する鬼神。〜式盤の神格化で一種の付喪神〜
護法〜密教系祈祷僧や修験者の守護・使役霊。 「護法神」「護法鬼神」「護法童子」 2体一対が多い:「コンカラ・セイタカ」「乙童・若童」「立行者・臥行者」 「剣の護法・空鉢の護法」 修験道の開祖〜役小角(えんのおづぬ)〜賀茂役君の出自。 前鬼・後鬼
修験道〜日本古来の山岳信仰に仏教(主として密教)と陰陽道 を取り入れ平安時代の中ごろに成立した宗教。 修験者〜山岳修行によって験力を得た=験を修めた者。
藤原千方が用いた四鬼のうちの隠形鬼は、摩利支天の隠形の印を 結んで陀羅尼真言をずす、真言秘密修法の隠形法から生まれた鬼。
『続日本紀』
一寸法師・酒てん童子・金太郎など ●「小さ子」「童子」=人ではない鬼・神に近い人 成人しても童子・童女の霊力を持つ存在であるとしめすのが長髪のかむろ姿。 成人は髪を結うものと決められていた(古代から近世まで)
牛飼童・堂童子・八瀬童子 吉野の前鬼・後鬼の子孫
●客人(まれびと) ●「魂(たま)・神・鬼(もの)」
鬼ものがたり〜鬼と鉄の伝承〜大橋忠雄(明石書店) ●「因果応報」「輪廻転生」思想。
六道〜衆生(生あるもの)が自らの業故に、生死を繰り返す 六つの世界のこと。 餓鬼・地獄・畜生・阿修羅・人・天の6つ。
輪廻転生は車輪の転がるごとく六道の内を「生まれ変わる」 衆生は業によって迷いの生死を重ね、業によって三界(欲界・色界・無色界) あるいは六道を転々と流転し続ける。それも、この世で繰り返される 「転生」であり、救済はない。
六道四生〜四生とは胎生・卵生・湿生・化生の四つの生まれ方。
後、浄土教によって「解脱」による異界(極楽浄土)への救済が説かれる。 律令政治の崩壊、10世紀〜11世紀ごろ。末法思想の広がりが土台にある。
参)『往生要集』 「厭離穢土」(おんりえど)と「欣求浄土」(ごんぐじょうど)
●鬼 茨木童子
賽の河原・三途の川〜川はあの世とこの世を結ぶ結界。聖と穢の空間。 門や橋〜鬼が棲み、出現し、人を食う境界的空間。〜羅生門・朱雀門
四神相応という中国の都市づくりの理念を用い作られた平安京。
北の玄武〜船岡山 東の青竜〜鴨川 西の白虎〜山陽。山陰道 南の朱雀〜巨くら池
●異界 大江山千丈岳から、さらに谷を越え、峰を越え、暗き岩穴十丈ばかり先 にしゅてん童子たちの棲む異界があった。
妖怪・鬼を騙す人間 人間を騙すことない妖怪・鬼
「如意宝」(所有者に無限の富と幸福をもたらす宝物) 鬼の首にはめられた宝珠。
牛頭天王(=スサノオノ尊に擬せられる)=祇園精舎の守護神。 疫神〜疫病をひろめ、また鎮める神。
祇園=祇園精舎=(仏)昔、釈迦の為に建てられた寺をいう。
氏神=1.氏の先祖としてまつる神。 2.うぶすながみ(産土神)。生まれた土地を守護する神。
夏祭り=疫神払いが本質。祇園祭は夏祭り。
本来は、穢れと禍を川に流して、人々の生活を護ろうとする川祭りの 性格を持つ。 氏神の祭日は初春と晩秋を主とし、豊作にかかわる。
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