夢見る汗牛充棟
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2007年08月29日(水) |
即興詩人 アンデルセン |
上下巻 岩波文庫 赤741−1
大畑末吉:訳
購入。読了。
情感豊かなみずみずしい若者の物語。 で、文章を読んでいるというより絵の前に立っている気分というか 風景や情景やら目に浮かぶようでした。そんで美しかった。 主人公は、感受性豊かで青くて、若いっていいね。 時々ぐーで殴りたいけど。
詩人さんというのは自分の良いところも悪いところもつまびらかにして 切って売ってなんぼなんだなぁとしみじみ。
物語がどうこうよりも、画集を眺めているような美しさの方が 印象に残っている。えとでも物語も波乱万丈です。
長いけれど、とても好きだなと思った台詞。
〜きみはまるで、たちのわるいシロッコに吹かれたような顔を しているじゃないか。その熱風が吹いてくるのは、きみの胸の なかからじゃないかな。胸のなかの小鳥なんか焼け死んじまいますよ。 不死鳥じゃないんだから、その覚悟はできていませんよ。時には 外に飛び出して、野の赤いいちごや、バルコニーの美しいばらの花を ついばまなけりゃいけませんよ。そういうふうにして、どうにか やっていくんです。ぼくの小鳥なんかそうしていますよ。おかげで いつも元気で、上々のごきげんで、陽気な歌をぼくの血の中に、 ぼくのからだじゅうに、うたってくれるんだ。だから、ぼくも ごらんのとおり元気なんだ。きみだってそうなれますよ。いや、 そうしなけりゃいけない。詩人というものは、胸のなかに小鳥を 持っていなけりゃいけません。ばらの花もいちごも、すいも甘いも、 晴れた日も曇りの日も知っている小鳥をね〜
シロッコつうのがわからなかったけれど、広辞苑によると サハラ砂漠から地中海方面に吹く熱風……だそう。
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