「隙 間」

2005年12月07日(水) こころの線引き

世間で構造設計の不正問題が話題になっている……。
性善説を唱えるわけじゃないが、いろんな所のいろんなしがらみがある。
もちろん、やってはいけない事をやってしまった、という事は否めない。
その過ちに対しては、誠心誠意対処するべきだ。

例えば、のお話。
根も葉もない、個人の妄想だと思って欲しい。

行政がこれまで行ってきた建築確認。
やがて処理能力に限界が訪れる。行政だからといって大量の人数を導入してその全てが建築のプロで、書類や図面チェック、そして現場の検査全てを最新のコンピューターのように迅速に処理できるわけではない。
ならば、その資格ある民間に委ね、民間で在るがゆえに、プロフェッショナルのみの集団に、しかるべく対応させよう。
必要とは言えやがて「税金の無駄遣い」なんて批判されるかもしれない建築確認に大量の人員を確保するわけにも行かない。
でも、民間審査機関とは言え、イチ企業。
利潤も追求しなければならない。ライバル企業にも勝たなければならない。
何がニーズか。
質は勿論。建築主にしてみれば、少しでも早く建てて、他よりも早くお客様に購入してもらえるようにしたい。
「当社は○週間で建築確認取得をお約束します」
行政に提出するよりも勿論短い期間。
設計側も、しかるべき書類、図面等をきちんと揃えて審査をお願いしている。
それでも、訂正や説明の時間がかかってしまう事もある。
でも、約束の期日を元に民間の審査機関に提出している手前、そこに営業と技術の間にジレンマが発生する。
期間内に建築確認を許可しなければならない。
お互いプロ。しかるべきものを当然、揃えてありますよね、それを「確認」はさせて頂きます。でも、プロだって人の子。間違いはあっても仕方が無い。

間違いや過ちを黙認する気は、毛頭無い。
やってはいけない事は、やってはいけないのだ。

もひとつ、例えのお話。
マンション建設反対の住民運動。
夢のマイホーム。血と汗と涙と家族の愛の結晶。
手に入れる時、よもや将来、お隣に高層マンションが建つなんて事は、誰も想像できないし、わかるわけが無い。
日影や、景観、ビル風、車の出入り……。問題はきりが無い。
建築主は民間企業であるが故に、採算や利潤を求めなければならない。近隣の住民にも「できて良かった」と思われるものを建てたいとも思う。
外部から新しい住民が増え、コミュニティの拡大のきっかけにもなる。
それぞれの立場で、それぞれの求めるべきものがある。
その共通項をみんなで見つめなければならない。
みんながそれぞれ、背伸びを止めなければならないところがある。

自分だけの幸せのみを求めて生きる人間に、本当の幸せは来ない。
求めるほど、他者との軋轢が増え、やがて争いにしかならなくなる。
世界で戦争が無くならない理由と同じ。

「あきらめる」のではない。

それぞれで、それぞれのこころに線引きが必要だ。
何を求め、何を大切にするか。
何を優先するのか……。


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