「隙 間」

2008年10月13日(月) 「なぎさの媚薬6 天使の階段」と色と意味と

 重松清著「なぎさの媚薬6 天使の階段」

 こんなにもせつなくて甘酸っぱい官能小説、あっただろうか?
(シリーズの帯コピーより)

 言葉が足りません。
「泣かずにいられない」
 を、加えたいと思っています。

 ええ、そうですとも。
 重松清作品であれば、条件反射で胸が詰まって息が苦しくなって、視界がぼんやりと滲んでしまう、そんなわたしですが……。

 それが何か?笑

 肺ガンに冒され、五年生存率が二十パーセントと宣告された宏は、結婚を目前に婚約者の真知子に告げなければならないと覚悟する。

「結婚、やめようか」

 同じ病院のナースでもある彼女は、病状も生存率のこともすべて知っている。

「最期まで、ずっと、一緒」

 彼女を未亡人にするとわかっていて、不幸を押しつけるとわかっていて、宏は、真知子が自分と出会わなければ、きっと、今よりも、これからよりも、ずっと幸せな人生を送れたはずだ、と、宏は「なぎさ」と出会い、過去をやり直すべく、なぎさの媚薬を口にする。

 真知子さんの今の人生が変わろうとも、宏さん自身の今は変わらないんです。肺ガンに冒されていることも、五年生存率のことも。
 それでも、構わないんですね?

 そうして宏は、記憶のなかの真知子との出会いからやり直すことになるのだけれど……。

 今までのシリーズとは、ちょっとだけ違ったところがありました。

 あろうがなかろうが、ふぐぅっ、と息が詰まって身悶える男がここにいることには変わりありません(汗)

 さて。

 些細なことですが、ふと気がついたことを。

 回想の世界に背景色をつけるなら、白と黒、光と闇、どちらをどう使い分けるか。

 色にはそれぞれ、意味があります。
 単色ではもちろん、複数色の組み合わせにもそれぞれ。

 色見本帳だけに首っ引きになっていたら、

「これも見てみ?」

 と、当時のボス(部長)に色彩のそれぞれの意味がぎっしり書かれた本を数冊渡され、辟易したわたしを見て、この薄いのだけでもいいから参考にしろや、と(汗)

 あたたかい、さむい、だなんて序の口の序の序。
 なんでこの色とこの色でこんなイメージの意味になるのさ!
 という、己の知識の浅はかさを棚に上げてブーたれたりしてました……汗

 色って、難しいです。

 逆説的に使うこともあります。
 実物のよしあしもあります。
 個人の生活のなかで培われてきた記憶や印象もあります。
 心理学や環境工学や、色々な影響もあります。

 視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚……これらをうまく、ことばにつなぎ止めてゆけたら、どれだけ素晴らしいでしょう。

 ……くやしいです(汗)


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