くじら浜
 夢使い







少年の夏休み   2002年09月01日(日)

破れた皮が3回剥けた。

膝っ小僧を擦り剥きながら、
それでもひたすら走っていた。

照り返す砂浜に足の裏が焼けた。

取ってきたクワガタに餌をやり、
飽きた頃に死骸を静かに眺めた。

雨は濡れるものであり、
濡れたら嬉しかった。

山はそこにあり、
海はそこにあり、

終わることのない、
永遠に続くはずの夏休みはいつのまにか終わった。

くじら浜にひとり立ち、
破れかけた最後の皮をバリッと剥いだ。









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