くじら浜
 夢使い







あの夏の日 5   2006年09月05日(火)

屋根に登った少年は
ひとつ大きな深呼吸をした

夏の終わりのコノ感情に戸惑いつつ
それでも次から次へと溢れ落ちる


陽射しは昨日とは比べ物にならないくらい弱々しく
崩れかかった入道雲が
わずかに変色しながら千切れていった


コノ感情はどこに流れていくんだろう

蝉が最後の力をふりしぼって鳴いている

遥か彼方の龍郷湾に太陽が落ちていく



少年はただ屋根の上に斜めに寝そべりながら

感情はただ溢れながら










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