大人の再開ピアノ、もどき
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2004年11月13日(土) 背筋の伸びる音

相変わらず朦朧として寝てばかり。
うとうとしていたら弦を弾く音が聞こえる。
まるで筝の調弦のような、単音と単音をズラして鳴らす静かな音。
五度、三度、二度、六度、オクターブ。
微妙に音が変わる。
ああ、隣のピアノを調律してるんだろう。
お隣さんが越してきて十年ほどたつのに初めて聴いた。
静寂にゆっくりと重なる音。音楽ではない、音楽。
調弦する音を聴いていると背筋が伸びる。
眠くてだるくてたまらなかったのに、目が醒める。
そうか、条件反射ってやつだな。
いつのまにか、心が鏡面のように落ちつく。
調弦は、精神統一になってたっけ。

起き出したら隣の音は生活音に紛れてしまう。
こういう話を誰かとしたい、と思っても家族に話せない。
興味はないだろうから黙ってる。ま、そんなもんだ。
話せる相手のいる人はきっと幸福だろう。


五葉 |MAIL

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