2005年05月11日(水)  「風の谷のナウシカ」 宮崎駿

■風の谷のナウシカ 著・宮崎駿

久しぶりに読み直し。
そしたらはまって、ここ3日ぐらいずーっと読んでいた。
案外読み応えがある。時間がかかった。
読み飛ばしコマがない。じっくり読むべき作品です。

クシャナかっこいいなぁと思った。
映画では憎まれ役そのものだが、原作では全然違うわい。
トルメキアの実状をキチンと知っていれば、憎めないのだ。
多くの兵士に慕われる、人望篤きトルメキアの白い魔女。
死に絶える部下の手向けに、御髪を切り落とすシーンが大好きだ。
土鬼の皇兄にすら恐れを成さぬし、その首持って駆けめぐる。
「鬼だ」と評されていましたが、まさにその通り。でも、美しいです。
ナウシカと対局に位置するキャラだと思う。
ナウシカは慈悲で全てを救うセンジュ君タイプ。
クシャナは憎悪を貫く阿修羅君タイプ。
父王を、兄たちを憎むことで強くなり、全てを手に入れた。
でも、ナウシカの優しさつうか、違いに気づいて、変わった。
ヴ王の死を見届けて、全ては昇華されたかなぁ。
彼女のように生きたいとは思わないが、強さは見習いたい。
あそこまでなるには、壮絶な苦しみがあったんだろうな。
ナウシカは後半、人知を超越してしまい、別格になってしまうが、
クシャナは最後まで人間だった。その分、親近感が湧くのは私だけ?
土鬼の城に、ナウシカと共に強襲をかける話がある。
その時数人の騎馬兵士が命を賭して、ナウシカを護衛する。
そうさせるナウシカの素質もあるのだろうが、精神面を鍛えたのは、クシャナである。
戦闘になったら自らの命が一番大事だろうし、むざむざ死ぬような事はしたかない。
でも、あそこで馬を走らせる決心をする兵士を生んだのはクシャナだ。
裏読みしすぎだが、トルメキア軍とのクシャナのつながりは、
ナウシカと城じい達のそれに匹敵すると思う。
トルメキアは風の谷よりもっと文明的で、潤っていると推測する。
その分、人々も独立独歩でまとめ上げにくいはず。
それをあそこまで団結させるなんてなぁ。
やっぱり、すごい人物なのである、トルメキアの王女様は。
ナウシカだらけの表紙も、1巻だけクシャナが飾ってるしね。

クシャナ賛歌になっているが、他にも見所は有りすぎて整理つかん。
重要シーンが多いだけ後半部分の感想ばかりになってしまう。
ユパ様の絶命とか。巨神兵の事とか。ヒドラの事もな。
気合い入れて感想書くには、ちょっと今日はキツイ。
また読んだら書こう。

映画は、本当良くまとめたと思う。
あれはあれで一つの「風の谷のナウシカ」だ。
しかし、原作をアニメにして欲しいともちょっとだけ思う今日この頃。
宮崎駿氏の原点は、ナウシカだろうな。
伝えたいこと、いっぱい詰まっている感がする。
後世に残すべき漫画だと思います。星3つ。いや、5つ。




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