カタルシス
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2002年03月21日(木) |
今日という日は二度来ない なんてな。 |
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昨今の陰陽師人気の波に乗ってか、夢枕獏&岡野玲子の漫画『陰陽師』の原画展が開催された。 3/21〜27、極端に短いこの展示会情報を敏感にキャッチした私は数人の友人を道連れて、有楽町の東京国際フォーラムへ足を運ぶことにした。
昔から岡野玲子の好きな友人がいたので、私の中でも『実力の伴った古株作家』という認識が彼女に対してあった。 中でも陰陽道はその友人が10年以上前から好きな分野だったので、岡野が陰陽師を題材に漫画を描くと聞いたときには大層喜んでいたように思う。 かの友人は最近の陰陽師ブームを嘆かわしく感じているようだが、今回のような原画展が企画されたのは このブームのお陰であろうと思うので、悪いことばかりでもないか… と、個人的には思った。 とにかく岡野氏の絵には以前から強く惹かれていたので、実際に生のイラストが見られるのは単純に嬉しかった。
実はこの日、上海に住まう先輩が帰国していたので会食をセッティングしていた日だった。 約束は夜でも良いと思っていたのだが、原画展の話をしたら思いの他快く同行を申し出て下さった。学生の時同じ科だった先輩なので絵に関しての興味は強い。ご自分でも描かれる方だから当然と言えば当然だったか…。 いずれにせよ私の我儘に付き合って頂いたには違いない訳で、全くもってありがたいことだ。
実際に目にする岡野氏の原稿は 繊細、緻密、清楚を極めていた。 「技術の優れた人は修正をしない」というセオリーを信じている私の目に、模範のような仕事振りを見せつけてくれる。 背筋が伸びる思いだった。 絵柄の美しさだけでなく、仕事そのものが奇麗だ。 全く、かく在りたい…。
美しい絵の世界に束の間の幻想を見、その後は久しいの面々との酒宴に歓談の華を添える。 週の間をくり貫くような祝日の夜を 更けるまでの語らい。 こんな時には存外年齢を重ねていることを自覚する。普段いかに年齢相応の行動をしていないかが後ろめたくさえなる。 最近先の事を考えるよりも 昔の事を思い出す時の方に幸せを感じる。 やれやれ、なんて老け込んだ事だろう。
先輩の帰国に合わせて時々顔を合わせる面子だが、毎回自分だけが変わっていないような気になって孤立感に襲われる瞬間がよくある。 本当に何も変わっていないのか、変わっているのに気づいていないだけなのか、どちらであるのかは解らないが、考え込んで卑屈になる傾向があるので表に出さないようになるべく注意しているつもりだ。が、まぁ、多分漏れているか。
考えてみたら特定の寄り辺がない今の自分にとって家族や友人は貴重な存在だ。失ったらヤバい… お誘いを受けているうち 我儘をきいてもらえるうちが華と思って、見放されないうちに自分も成長していかなくてはいけないな。
さて、何をどうしたものか…
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