カタルシス
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2002年11月09日(土)  都内歩け歩け 

母と妹と3人で新宿までお出掛け。
三越で『ケーキの祭典』みたいな催しがやっていたのでお菓子づくりの好きな母を私たちが誘ったって寸法さ。

職人のケーキ展示や実演、試食の他 全国の有名店が特設の売場とイートインのコーナーをつくっていて、奥様お嬢様方で会場は大盛況。我々も何か食べてみようか、と一度は思ってみたものの どの店にも列 列 長蛇の列!
元来せっかちな性質である母がそんな状況に堪えられるハズもなく(苦笑)更には自分でかなりのセンまでつくれてしまう彼女にとって有名店のべらぼうな価格設定は どうにも癪に障ったらしく、
「こんな値段で買うほどのものじゃない!」とご立腹の様子。人間電算機と異名をとった程の暗算マスターは瞬時に原価計算までしてしまったようだ。

そんなこんなで良かれと思って誘った我々の顔には すっかり苦笑いが張り付いてしまった。

このままお茶もせず家に帰るのもつまらないので、JR新宿駅の駅ビル『My City』の7・8Fが最近リニューアルOPしたのを思いだし 冷やかし半分見に行ってみないか、と誘ってみた。あわよくば適当な店を見つけて お茶なり食事なりにもつれ込もうという魂胆である。

7階も8階も以前とは全然違った空間で出来上がっていて 初めて足を踏み入れた私はちょっと面食らった。取りあえず様子を伺いながら歩き回ってみのだが、どうにも違和感が消え去らない。何に?って、照明やらオブジェやら 細部にこだわりを見せているようなクセをして、実はさっぱりコンセプトが統一されていないのだ。
一回りして思った感想が

「専門学生の展示会みたい」

誰の仕事なんだろうなぁ… この半端さには学生っぽさ感じるぞい(苦笑)
こないだ見た文化祭の方が本当に学生な分まだましだ。
新宿の駅ビル・マイシティにお立ち寄りの際には是非7・8フロアのレストラン街を歩いてみて下さい。半端さ感は解ってもらえると思うっス。

さて 空間デザインのことはおいとくとして、問題なのは店の内容だ。8階はちょっとランクが上の店が集まっているようだったので素通りするのみにとどめ、7階の店を物色することにした。
ざっと見たところ、以前よりアジアンに力が入った軒並びのようだ。アジアン好きの私としては嬉しいセレクションになったかも♪ その中でも点心バイキングの店が母の目に止まったらしく、「ここは?」と足を止めた。見ると
「17時までお一人様1800円で120分食べ放題」の看板。ウィンドウに貼られた案内を見ると17時過ぎは一人2500円になるらしい。

今は16:45。

ひじょ〜に
びみょ〜な
時間に思えたが、ここは奥様根性というのか母の動きは驚くほど早く
「今入るとおいくらになるの?」
と、いつの間にか店員を一人捕まえて問いかけていた。

「今ですと1800円で2時間ご利用頂けます」

つまり15分足りないが2500円の時間帯を1800円で利用できると、そういうことらしい。
「あら、じゃあ入るわ。ホラホラ行きましょ♪」
私妹「……… うん」

マ イ ペ ー ス 万 歳 。

店内へ進むと3面の壁沿いと中央部分にテーブル席が用意されていて、壁1面分が料理を並べるブースになっていた。その奥はもちろん厨房になっている。
「皿料理はあちらからご自由にお持ち下さい。スープ・お粥・点心はワゴンが参ります。お茶だけはお手数ですが係りの者を呼んでお申し付け下さい。」
そう言って丁寧な男性店員はお茶の注文だけを取り その場を辞した。

お〜v ワゴン式なんだ〜vv 香港旅行いら〜い♪

厨房の料理台まで皿盛りの料理を取りに行くと、存外量が少なく あれ?と思う。なんか寂しいな、と思っていると新しい料理がいくつか運ばれてきた。ラッキー出来立てじゃん♪と思いつつ取り上げる。飲み物やデザートも後々のためにリサーチしとこう、と台を眺めていると また新しい料理が運ばれて来た。
おや?
どうやらこの店ではいつでも出来立てを提供するために、一度につくる料理の量が少な目になっているらしい。皿に乗っている量は少な目だけれど 料理の種類は思いの外多かったようで、次々に色んな料理が運ばれては空いた皿が下げられていく。それの繰り返し。

なんか ちょっと 見事かもッ …!

テーブルに戻るとチャイナドレスのお姉さんがワゴンを押しながら「フカヒレ粥〜、酸辣湯スープ〜」と何故かちょっぴりぎこちない日本語。胸のプレートを見ると“朴”さん
…あれ、韓国?(^^;)

続いて「小龍包〜、翡翠餃子〜」やっぱり違和感のある日本語が聞こえた。プレートは“關”さん、これは多分「せき」さんじゃなくて「クァン」さんなんだろうな…

気を付けて見てみたらお客様のご案内とレジにいるのは日本人スタッフ、ワゴンを押すのはチャイナドレスのアジアン外国人、厨房の中にもカタコト日本語の人が半数くらいな感じだった。厨房の方は専門家が混じっているのかも知れないけど、この台車小姐(ワゴンレディ)はバイトだろ?日本語が通じるとはいえ、わざわざ外国の女の子を起用したのかと考えたら「店のこだわり」に脱帽の思いだった。
料理も美味しかったし 私的には◎な店だ。
ただ、アルコール類が完全別注文ってのはやや難ありかな(苦笑)私は困らないけど、友達誘って盛り上がるには面倒かも知れない。それがこの店の絶妙な部分でもあるのだろうけどね。

途中でちょっと料理の種類が増えたみたいだ。
自分らがタイムリミットで店を出る頃になったら 今まで出ていなかった種類の料理が更に増やされていたように見えた。予想するにこれからの時間は本格的に“お一人様2500円”の料理が並ぶってことなんだろう。18:30くらいまではその中間の時間帯なんじゃなかろうか。
ってことは16:45に入った我々は得だったし、17時過ぎてすぐに入った客は損ってこと?

…肝に銘じておこう。

調子に乗って食べていた所為で満腹度合いが尋常じゃない。美味しいと言っても中華料理だからこってりしたものが多く、食べ過ぎれば流石に堪える。私はこのあと町田まで路上ライブ聴きに行かねばならないからぐったりしている訳にも行かず、同じようにユラユラ歩いている母と妹に手を振って 小田急線の改札を目指すのだった…


小田急線に揺られること30分、予定とそうズレなく町田の駅に到着した。路上ライブは「18:30頃スタート!」となっていたので19時に着きゃいいだろういう目安に沿って行動していたので小田急町田駅からJR町田駅に向かう途中の高架歩道には19時を少し回った頃辿り着いた。この歩道橋のどこで歌っているのか詳しい位置までは知らなかったが、場所は思いの外早く見つけることができた。何故って聴こえてたからね、歌声が。

そのままの歩調で近寄ると演奏中の2人の前には結構な人だかりができていた。見るに高校生〜20代後半といった年齢層の常連客を思しき団体と、道行きついでに足を止めてくれたのであろう年配や家族連れが数組。
へぇ、みんな結構止まって聴いてくれてんだなぁ… と他人事のように思いながら、多摩の時と同じように通路の反対側の壁にもたれて通り越しにその様子を眺めていた。やっぱりどうも、あの常連客の中にひとりで入っていくのは面倒くさいようだ。

途中休憩のような間が空いたのを見て やおら移動を始める。たまたま誰の相手もしていなかった庭瀬くんに「CD下さい」と声をかけたらすぐに振り返って「あー、ホンマに来てくれたんやぁ ありがとぉ!」と思い切りの笑顔を向けられた。一瞬周りの視線がこちらに集まり、私は一人で体を堅くする。

な、何?この雰囲気…

庭瀬くんの方はそんな空気には慣れているのか全く気にする様子もなく「お馬鹿でーす」と昨日のメールのことでおどけて見せていた。居心地の悪さを感じながら控え目に反応を示すと、怪訝そうな顔をして「何かメールとキャラが違くない?」なんて言ってくる。いや、メールの方が素なんだけど、この空気の中で君と親しく喋る勇気が…
「あーごめん、アドリブ利かないんだ(苦笑)」
なんて台詞で誤魔化してしまう。そしてCDにサインを頼んだ後で 持ってきたジンジャーケーキを渡しながら
「ファンの人達の分もと思って焼いたつもりだったけど、全然数足んないや… っちゅー訳で宇田さんとスタッフさんと仲良く分けてくらさい。一応風邪っぴき用にジンジャーケーキだから。」と口早に伝えると
「マジすか?!」
…何に対して「マジ」と聞いてんだ?
それからチケット担当の宇田さんのところへ行って『12/23ワンマンライブ』のチケットを2枚買った。1枚はOさんの分。

そして後半戦。11月に入ってまだ10日足らずだが夜風はなかなかに冷たく、吹きさらしの中で路上演奏を聴いているこちらも体を縮めながら立っていたが、演奏している本人達はアコギを弾く手に手袋をする訳にもいかず、当然のことながら素手を寒風にさらしている状態だ。そのままで1時間は歌い続け、人通りもまばらになり始めた町田の歩道橋で とうとう最後の曲『Selfish』を演奏するに至る。この曲はOさんが好きな曲だったので携帯でコールをしたら いい具合に時間のあるタイミングだったらしく、そのまま1曲終わるまで私は演奏する彼らに携帯電話の向け続けた。
時計は21時になるところだ。

「今日も2時間無事に歌い切れました〜 みんなありがとうッ」

メンバーは後片づけを始め、常連ファンの子達は撮影会を開始。所在のない私はしばらく逡巡した結果、寒いし長居していても意味がなかろうと判断し ギターをケースに片している最中の庭瀬くんに
「じゃー帰んね、サインありがとー。」と声をかけたら 慌てたように振り返り、立ち上がって
「わざわざ来てくれてホンマありがとねー」と頭を下げた。
そんな仕草を見ていてちょっと気になってしまったので つい「…兄さん何年生まれ?」と聞くと「××年」と返ってきてビックリ 私と同じじゃん! 1つ2つ下だと思っていたんで「くん」づけで呼じゃってたけど ヤバかったかなぁ… するとそのまま宇田さんを指さして「あっちは×△年やねん、5月生まれやから学年は同じやけどな。」と続けた。
え、いっこ上? …ってことは

「庭瀬くん早生まれなの?」
「うん、2月。」
「何日?」
「19」
何気に誕生日をチェックしつつも内心はちょっと汗。

何だよ 年上じゃん!

「私も××年だよ… でも7月だから学年はひとつ下だぁ。二人とも若く見えるから同じくらいか、むしろ下だと思ってたよー ごめん“くん”づけで呼んじゃって(苦笑)」
「そうなん?同じ年生まれ? へぇ〜、そうなんや〜(笑)呼び方なんて好きなように呼んでくださーい、全然気にせぇへんよー。」

そうこうしていたらカメラを持ったファンの子たちがジリジリと近づいて来たので「ホラ待ってるよ」とそちらに促して自分は集団から離脱した。
「じゃーまたライブでねー」

努めて明るく手を振ったあと 踵を返してひとつため息。
はぁ… 町田から地元に戻るのはプチ旅行なんだよね(苦笑)
一日歩きずっぱりだったので足も疲れてたし ちゃっちゃと帰るのが得策とばかりに歩調を速めた。


明日はちょっと のんびりするかー


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