長いお別れ
DiaryINDEX|past|will
色んな人がそれぞれに正しい事を私に言う。 「仕事をしなさい」 「恋人を作りなさい」 「家庭を持って一人前だよ」 「そんな薬飲んでるから病気だって思い込んでるだけよ」 「やる気がないだけでしょ」 「結局人より楽して生きたいんでしょ」 「根性座ってないから何もかも中途半端なんじゃないの?」 それぞれに正しい事を言う。それぞれに私は何も言えない。 根性とかやる気とかそういう次元じゃないんだ。 本当に心の中が真っ暗になってそこで叫んでも声は届かない。 真っ暗やみの中。自分の手の先すら見えない場所で必死でもがいてる。 でもその姿が見える人は少ない。だって真っ暗だから。 床に這いつくばって手探りで探し当てた人の声は優しくて悲しい。 産まれて来ちゃいけない人間だったのかもしれない。 だからといって自分を殺す事は出来ない。それだけはしちゃいけない。 正しい事をいくら聞かされても悩みは消えないし余計に迷うだけ。 私はどこへ行こうとしてるのだろう。 何の為の時間なんだ?何の為の感情なんだ?何を手に入れれば楽になるんだ? 自分に問いかけてもわからない。何をどうすれば私は「私」を取り戻すんだろう。 群れからはぐれてしまうのが怖くていつも居場所を探してる。 だけどどこも満席で私の座る場所はない。立っていたら邪魔になるだけ。 そうしてまた真っ暗やみの中へ帰る。泣きつかれて眠る。 どんな事情を抱えていようと夜は朝へと続いていてまた目覚める。 そしてどうしていいのか解らない心を持て余したまま一日が過ぎる。 今より悪くなる事はないだからなんにも怖くない。 そう言って言い聞かせて少しづつ何かを手に入れると信じて真っ暗やみの中から手を伸ばす。 生きていく事は悪い事じゃないよと笑って言えるようになるまで。
|