訃報 |
なんかやばいと思ったんです。 まだ朝八時ごろの電話。 とりあえず時間がないので急いで出かける準備をして居間に下りると、妹が泣いていました。母親も泣いていました。
私が大阪に出てくるまでの間、生まれた時からずっとお向かいに住んでいたおばちゃんが亡くなりました。 大好きなおばちゃんでした。学校がない日は毎日遊びに行っていました。少し前、去年の暮れから体調を崩して入院していたそうです。さすがに飛行機に乗らねばならない距離なので、すぐにお見舞いにはいけず、退院した一月に母がお見舞いに行きました。それからまた入院したそうです。
だから電話が鳴った時、あっと思いました。 嫌な予感がしました。
部屋でもうすぐ20歳だという妹がボロボロ泣いています。 母親も泣いています。 なのに私は涙も出ません。
ああ時間だ。合同説明会だ。就職だ。
行かなくっちゃ。行かなくっちゃ。
なんだか妙に落ち着いていて、変な気持ちでした。 おばちゃんが亡くなったことに全く動揺せず、駅へ急ぐ私。 合同説明会の方が大事なのか。嫌な人間だ! 自分の頭と行動がずれていました。 この奇妙な落ち着きはなんだ? いつもならよく忘れてしまう手紙をポストに出すと言う作業もしっかり覚えていました。
そして、二分ぐらい歩いた頃でしょうか。
涙が
ぶわっと
それからが大変です。 どんどん涙が出てきます。「うっうっ」と嗚咽までこぼれる始末です。 道の端っこで人の家の壁の方を向いて鞄をごそごそ。 私はようやく取り出したハンカチで涙を拭き拭き、駅へと急ぎます。 止まりません。 止まりません。
駅に着くと、さすがに落ち着いてきましたが、やっぱりぼーっとしてても涙がポロッと出たりします。
電車の中で気付きました。 我慢してたんじゃなくて実感がなかったのかな、と。 人の死って本当に悲しい。 おばちゃんにはもう二度と会えないんだなぁ。 私を構成する幼少期の部分がガタガタと崩れていくような感じ。 でもおばちゃんと一緒に居た楽しかった時間は忘れません。大好きでした。ありがとう。
おばちゃんが私が物心つく前に亡くなっていたご主人と天国で再会できていますように。
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2003年02月03日(月)
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