ひげのお兄さんの日記

2005年10月18日(火) 定番

今、上映中の藤沢周平の「蝉しぐれ」を観てきました。
「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」と世相も主人公の
立場も、そして風景もほぼ同じ設定。
「素朴」のなかでの凛とした生活、下級武士の立場で
なかなか意のままにならない人生をおくる主人公たちが、
それでも平穏な生活を願いながら質素に暮らしているのに
何かに巻き込まれていく。そんな人生の描写をお決まりの
風景と共に描いています。
ここまでくると「水戸黄門」や「虎さん」並みに定番で、
子供の頃、父親の田舎に行った頃のかすかに覚えている
臭いや風景を何だか懐かしく感じながら、かつての日本人の
厳かで質素でいて、凛としたものを普段そんなに見せつけず、
周りに気を使いながら平穏の中の幸せを願う。
そんな日本人のあの感じを味わうには良い映画です。
ただ、今回の「蝉しぐれ」に関しては、原作本のほうがいい。
映画のあの時間では無理がありますね。
でも最近、本離れの状況ですし、藤沢作品のような情景を
想像できる人も少なくなってきてるでしょうし、映画で
伝えていく事も必要だと思いますね。


 < 過去  INDEX  未来 >


ひげのお兄さん