今、上映中の藤沢周平の「蝉しぐれ」を観てきました。 「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」と世相も主人公の 立場も、そして風景もほぼ同じ設定。 「素朴」のなかでの凛とした生活、下級武士の立場で なかなか意のままにならない人生をおくる主人公たちが、 それでも平穏な生活を願いながら質素に暮らしているのに 何かに巻き込まれていく。そんな人生の描写をお決まりの 風景と共に描いています。 ここまでくると「水戸黄門」や「虎さん」並みに定番で、 子供の頃、父親の田舎に行った頃のかすかに覚えている 臭いや風景を何だか懐かしく感じながら、かつての日本人の 厳かで質素でいて、凛としたものを普段そんなに見せつけず、 周りに気を使いながら平穏の中の幸せを願う。 そんな日本人のあの感じを味わうには良い映画です。 ただ、今回の「蝉しぐれ」に関しては、原作本のほうがいい。 映画のあの時間では無理がありますね。 でも最近、本離れの状況ですし、藤沢作品のような情景を 想像できる人も少なくなってきてるでしょうし、映画で 伝えていく事も必要だと思いますね。
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