バカ恋
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■ アンインストール ■


如何しようもない身体の乾きに襲われる。

求める潤いは遥か遠く、

手を伸ばしたところで届かない彼方。

其れでもアタシは伸ばし続けるのだろう。

この手を。




アタシの中で塵みたいに小さな不安物質が、

住み着いてつけ込んでる。

何時しか「信頼」と云う最も大事な行為を根底から揺るがし、

翻弄される日々が数週間続いた。




信じる気持ち、信じたいと願う気持ち、其れらを否定する気持ち。

あらゆる思いが螺旋になり、錯綜して、

益々アタシを追い詰めたけど、

結局、最後は

此処に居たいから居る

と云う意思で締めくくられる。




今日と云う日を待ちわびていた訳ではなく、

恐らくアタシは、

シュウの口から発せられた「覚悟」の真意を確かめたかっただけだろう。

其れが一体如何程のモノなのか・・・。

彼にとって、アタシにとって、

誰かにとって。




少なくとも当時のアタシは、

彼の其の言葉に心酔しきっていて、

譬え、其の言葉群が薄っぺらなモノだとしても、

アタシを縋りつかせるには十分だった。

けれど、

「待つ」と云う日々はアタシを更に貪欲にさせ、

何時の間にか、言葉だけでは眠れなくなっていたのだ。

確固たる証として公にして欲しかった。





今日と云う日が、アタシにとって何かしらの意味を持つのだとしたら、

其れはきっと戒めだろう。







今日からキミは自由だよ。

今日からアタシ達は本当の意味で始まるのかもしれないね。

ならばいっそ、

キミの其の手に委ねよう。

だってアタシは、

何処までもついて行くと心に決めたのだから。





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