寂しいでしょ?


何度も唇を噛んで、涙を堪えた。

何度も上を向いて、涙が零れないように。


寂しいなら、会いに行けばいいじゃないなんて、
そんな簡単な事じゃないんだよ。
それが出来るなら、あたしだって、あたしだって。

このまま、嘘吐きになりたくなくて。
忘れるって、決めたから。
絶対に戻ってくるって、約束したから。
又ねって、あの人もそう言ったから。

早く、早く忘れたいから、本当に会わない。
だから、今日も明日も、あたしは一人で。

もう、会うのはやめるから、
だから、あの人の事忘れられますように。


強い雨の降りつける電車の窓から見える景色、
それはまさに、あたしの心の中みたい。
涙でぐちゃぐちゃな、あたしの心の中みたい。

学校の帰り道、ずっと泣き出しそうだった。

ホントは会いたかった。
声が聞きたかった。
顔が見たかった。
一瞬だけでよかった。

寂しい。
好きな人に会えないのが、こんなに辛いなんて。

あの指が、誰かに触れて、
あの腕が、誰かを抱き締めて、
あの瞳が、誰かを映して、
あの唇が、誰かの名前を呼んで、
あの人が、誰かを愛しく想う。

あたしはずっと、その『誰か』になりたかった。
叶うはずなんてないけど。

寂しいから、会わない。
会いたいから、会いに行かない。
この夜を乗り越えたら、この気持ちを我慢すれば、
きっともう少し、強くなれるよね?

2003年05月31日(土)

魔法がとけるまで。 / ちぃ。

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