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2006年11月13日(月) |
☆←この星、ハノンさんの星 |
わたしが、ハノンシリーズの新章を立ち上げたいなーと思っている、っていうのはわりといろんな方がご存知なんじゃないかと思うんですが、まあ、そういうことですよね。これを書かないとそっちにいけないということです。 なんか、ちょっと、さっき急に思いついたのでさっさと書いてしまいました。 とりあえずまあ、そういうわけです(笑)。 ちょっと、これ書いてる途中でいつもの如くどれほどこの二人は甘かったかわからなくなってしまって読み返してみたりもしたんですけどよくわからなかったので、甘すぎだったらすいません…っていうか、でも今回は若干ビターな雰囲気も…?え、ない?なければ別になくてぜんぜんかまわないんですがとにかくこういうの初めて書いたのでなんか、あれだったら、すいません。体験者の方や専門職の方に色々お聞きしたいくらいです、ほんと。 まあ、とりあえず、そういうことです。 ハノン、いつから更新してないんかと思って検索してみたら2004年の4月以来ですか。はー。そっから今までに、拍手で何回かは登場してると思いますが、恐ろしい、2年…もっとおそろしいものが他にありますけれども…。 ハノンさんシリーズは多分このあとまたまったり寝かせてから新章に突入、できたらいいなーと思います(笑)。もう、リアルタイムでハノンを読んでいた方がどれくらい残ってらっしゃるのかわかりませんがハノンはわたしのなかでいちばん書きやすいというか、書きたいお話なのでこれからもエンドレスな感じに書いていくと思います、はい。 まあよろしければお付き合いください。という感じで、この下の方にハノンはのっけてます。
私はこれから銀行と職安に行ってきまーす。 ハノンを書いてたら遅くなってしまった…
ハノンさんと新さん
本人も気付いてないことだと思うけど、新さんは淡いピンクが好きだ。 だから、女の子がいいな、って、思う。
わたしと新さんは、世間で言うところのスピード婚である。 出逢ったその日にプロポーズ、次の次の日にはご挨拶に行って、まあいろいろしがらみもあったもののお金持ちと結婚するにしては大したトラブルもなく、出会いからわずか数ヵ月後、わたしは高校生のうちに彼と入籍してしまったわけである。 いま考えたらどこのチープなドラマだ、って話。 昼ドラですよね。 でも、そんな感じで、わたしは新さんの好きな色とか、好きな動物とか、好きな音楽とか、何にも知らずに結婚してしまったのでした。 結婚するに当たっても、毎日会っていたわけではもちろんなくて、わたしは女子高生で彼は大会社の重役の付き人であったわけだから時間も滅多に合わず、週に1回会ってればいい方、みたいな。 今考えたら、よくそんなんでお互い結婚に何の疑問も抱かなかったものだ。 わたしも新さんも恋愛とかについては究極に淡白な感性の持ち主だったからかもしれないけれど、このいきさつを話すと大抵の人に引かれてしまう。 わたしも、いま自分で考えたら引きます。 相手が新さんだったからよかったけど、けっこう危険なことしたよなあわたし。 そして、高校を卒業してから、この家に引っ越してきた。と。
あれから、もう随分経った。
最近わたしは勉強に目覚めて、大学の通信講座を始めた。 ゆりりんがお仕事を始めて引っ越して、滅多に遊びにこなくなって淋しくなった、ということもある。 新さんはあいかわらず新さんで、帰ってくると一緒にお買い物に行ったり、お料理したり、お散歩したりお昼寝したり。 好きな色や動物や音楽の話は話題として出すことはなかったけれど、一緒に暮らしているうちに大体わかるようになった。 そんな毎日、だった。 のだけれど。
「ハノン、大丈夫?」 「うん、ごめん…」 「ごめんじゃないでしょ、ハノン。いつから具合悪かったの?」 最近妙に体調が優れず、新さんが出張から帰ってくる前にと病院に行った帰り、病院から出るところでそのだんなさまにばったり遭遇。 驚いたらめまいがして、それにびっくりした新さんは慌ててわたしを抱えて車に乗せてうちまで帰ってきてしまった。 「だって、病院」 「会社の人のお見舞いに行ってただけ、もう帰るところだったし」 「あ、そうなんだ」 「ハノン、話逸らすのはやめてください」 「あ、ごめんなさい」 家に着いたらついたで有無を言わさず寝室のベッドまで運ばれて寝かされて、新さんはちょっと怖い顔。 「大丈夫なの?」 「うん」 「本当に?」 「うん、ごめんね新さん」 そう言うとわたしを寝かせたベッドに腰掛けて、新さんは迷子みたいな顔で大丈夫?ホントに?と何度も繰り返した。 その様子があんまり見てられなかったので、ベッドに手をついて起き上がると、新さんが慌てて背中を支えてくれる。 優しいひと、何年経ってもぜんぜん変わらない新さん。 「あのね」 「うん」 「こどもができたんだ、って」 今にも泣きそうな顔をしてたから頭を撫でてあげたのに、わたしのことばを聞いたらさらに泣きそうな顔になってしまった。 「こども?」 「うん、新さんの」 ああ、零れる、と思ったら視界がまっしろになって、何かと思ったら新さんの着ていたワイシャツだった。 「僕の?」 「うん、他に誰がいるの」 「うん、いたら困るよね」 「うん、」 「うん」 おめでとうございます、3ヶ月ですよ、と、先生に言われたの。 って言ったら、そうか、女の子かな?って答えたからびっくり。 女の子がいいの?って訊いたら、いや、どっちでもいいんだけど、とことばを濁す。 「どうしたの?」 「うん、6年位前にね」 「うん」 「会ったことが、あるんだ」 この子、だと思う。 と、新さんは私のおなかに手をあてて笑った。 そして、うれしい、ありがとう、って、言った。
新さんは自分で気付いてないけど、淡いピンクが好きだと思うの。 だから、女の子がいいな、って思ったんだ。 でもホントは、わたしはどっちだっていいの。
「そうだ、ハノン何食べたい?僕夕飯作る!」 「え、いいよ私がやるから」 「だめ、今日は寝てて」 「だって疲れてるでしょう?」 「大丈夫だから」
わたしはずっと、新さんをおとうさんにしてあげたかったんだ。 優しすぎるくらい優しいあなたを、守ってくれるいとしいもの。 あなたのこどものおかあさんに、なりたかったんだ。
「ありがとう」 生まれてきてくれて。
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