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プライド
2003年04月26日(土)
祖父の状態は日に日に悪化しています。
進み始めたら，進行は一気に来るようです。
眼鏡ケースに荒塩を入れたり
鍵が開けられなくなったり
今，何をどのくらい理解しているのかも
よく分からない状態です。
今日は，お昼御飯のときに
突然ズボンを脱ぎはじめました。
祖母が「ご飯だから脱がなくてもいいでしょ」と
ズボンをはかせようとしましたが，
「いや，そうじゃない…」と繰り返して
結局脱いでしまいました。
後で分かったことですが，
祖父はどうやら漏らしてしまったそうで
それが気持ち悪くてズボンを脱いだようです。
脳にできた悪性の腫瘍は
記憶や判断力をどんどん奪っています。
以前祖父はとても物知りでした。
そしてとてもプライドの高い人です。
もしも判断力などがそのまま残っていたら
自分が漏らしたことにとてもショックを受け，
それこそ意気消沈，といった風になったと思います。
けれど，今を考えて，だからこれで良かったと
わたしが言えるはずがありませんが。
今，家族の中で一番辛いのは祖母だと思います。
最も長く連れ添ったというのもありますが，
一日のほとんどの時間を祖父と過ごしているから
祖父がどんどん悪化していっているのが
はっきりと見えていることでしょう。
祖母は弱音を吐きながらも目は逸らしていません。
わたしも祖父の現実をしっかりと見て
できるかぎり目を逸らさずに最期まで看取りたいです。
今は腫瘍のせいで呆けてきているけど
物知りだった祖父の知識の一部は
わたしの頭にちゃんとあります。
記憶の一部，持ってます。
こんなふうに記憶は継がれていくんでしょう。
いけるところまでいこう。
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