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 錆びついた願い。  
 2003年05月06日(火)
 
いつから「死ね」と願い始めたのだろう。

気がつけばわたしは
錆びた刃物で身を刻んで
赤く濡れた指を舐めていた。

願っていたのは,抑圧の死。
押さえつけていたものの死。

今わたしは
赤茶色の錆びを拭った刃物を首に当て,
視力の無い目に月を映して祈っている。

「どうか早く死ねますよう…」

願う言葉を途切れさせるのは
いつかの誰かの言葉,
消えた人の残響。

そして狭い部屋で
生まれた土地から遠く離れた場所で
何かを思い腐っていくあなたを思っては

わたしは首に刃物を当てたまま
一筋の血を流しながら
月の映らぬ目で,何かを思う。

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それは退廃だけではない何かであると。


 


 

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