| 2007年05月24日(木) |
救急業務における トリアージ |
「 私は成功の秘訣は知らないが、失敗の秘訣は知っている。
それは、すべての人を喜ばせようとすることだ 」
ビル・コスビー ( アメリカのコメディアン )
I don't know what the secret to success is. But I know the secret to failure : and that is, trying to please everyone.
Bill Cosby
TV番組の名司会者、コメディアンとして、エミー賞を5回も受賞している。
そんな人気者も、「 すべての人を喜ばすことは無理 」 だと悟っている。
東京消防庁は来月1日から、119番通報を受けて現場に駆けつけた隊員が、救急搬送の必要のない患者を選り分ける新制度を試験運用する。
近年、消防庁では、「 救急業務における トリアージ に関する検討会 」 が活発に行われており、全国に先駆けて都内で実践されることとなった。
トリアージ とは、「 選り分ける 」 という意味を表したフランス語で、つまり、重症度、緊急度に応じて、優先的に傷病者を搬送する考え方である。
良識ある人々には、「 安易な119番通報は慎むべき 」 という認識があるけれど、一方で 「 タクシー代わりに利用すればよい 」 と考える人もいる。
その結果、あえて救急搬送の必要がない軽度の患者に振り回され、肝心の重症者を搬送するのに、救急車の到着が遅れてしまう事例も多いのだ。
トリアージ が注目される発端となったのは、1995年に6千人以上の死者と4万人以上の負傷者を出した 「 阪神淡路大震災 」 である。
消防庁の中には、もしもあの時、トリアージ が徹底されていたならば、もっと多くの人命を救えたはずだという意見が根強い。
大型の災害時に効力を発揮するためにも、平常時から習慣的に トリアージ という概念やシステムを導入していくことは、とても意義深いと思う。
実際、救急車の出動件数をみると、平成 6年から15年までの10年間で、その数は 305万件から 503万件へと、約 65% も増えている。
それに対し、救急隊数は 4331 から 4711 と、わずか 9%弱 しか増えていないわけで、平常時といえども救急搬送は常に 「 パンク状態 」 なのだ。
救急車の到着時間も、東京消防庁の調査によると、平成7年には平均6分18秒だったが、平成17年には7分30秒と、1分12秒も遅くなっている。
トリアージ の導入により、都内だけでも 年間 約 5000件 の搬送が不要となる見込みで、救急車の現場到着時間短縮につながると期待している。
課題点は、救急隊員が正しく 「 選り分け 」 をできるかどうかで、判断ミスを叩かれたり、民間搬送を要請した傷病者に恨みを買う恐れもある。
とはいえ、出動件数と救急隊数のバランスを著しく欠いた現状では、本来、「 救えたはずの命 」 も救えなくなる危険が大きい。
救急隊員たちは、通報があれば出動しないわけにはいかないし、一部から苦情が出たとしても、マスコミはこの制度を批難しないでほしいと思う。
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