2008年09月07日(日) |
民主党 「 ホップ、ステップ、肉離れ 」 |
「 何よりもまず、準備ができているということが成功の秘訣である 」
ヘンリー・フォード ( アメリカの自動車王 )
Before everything else, getting ready is the secret of success.
Henry Ford
決戦の前には、物質的な準備だけでなく、精神的な準備も怠れない。
大事なときに焦ったり、うろたえているようでは、勝負に勝てないものだ。
ほんの少し前まで、「 次の選挙は民主党の圧勝 」 という空気が流れていたのに、世論調査の結果をみると、ここへきて様子が変わってきたらしい。
福田 首相 が突然の辞任を発表し、自民党から “ 予想を上回る人数 ” の候補者が後継の総裁選に出馬を表明したことで、事態は一変した。
マスコミの大半は 「 民主びいき 」 だが、派手な総裁選が始まった以上は、それを伝えないわけにもいかず、お茶の間に自民党の露出が増える。
当初、民主党も党首選を行う予定だったが、党内の結束を重視する執行部が 小沢 一郎 の 「 無投票再選 」 を貫き、他者の擁立を認めなかった。
総裁選を 「 単なるパフォーマンスである 」 と揶揄する民主党の議員もいるが、党首選をやらなかった彼らに、それを非難する資格はないだろう。
前回の選挙結果 ( 参院選 ) が示す通り、自民党が国民から信任を失い、民主党に有利な風が吹いていることは、誰の目にも明らかだ。
安倍 前首相 に続いて、福田 首相 が突然の辞任に追い込まれたことも、政権交代を目指す民主党にとっては、本来、追い風となるはずだった。
ところが、民主党の動きをみていると、いつも肝心なところで ミス をしては、せっかくの好機に乗り切れていない。
参院選の圧勝後は、大連立に心を動かされた 小沢 が幹部に反撥されて、いきなり代表を降りると会見し、その後すぐに前言を撤回した。
当の本人らは、まるで何事もなかったかのように振舞っているが、絶対に イザコザ を起こすべきではない時期に、あれは明らかな ミス だった。
福田 首相 が辞任を表明したときに、驚いたように 「 無責任だ 」 と コメント したのも、少し “ 芸が足りない ” というか、無策すぎたように思う。
今まで、さんざん 「 辞めろ、辞めろ 」 と連呼しておいて、実際に辞めたら 「 無責任だ 」 では、まるで道理に合わない。
あの場面は、「 当然です、遅すぎるぐらいです 」 ぐらいの コメント を発し、後は我々が引き受けるという姿勢を、違う言葉で示すべきだった。
それが言えなかったのは、彼らに “ そういう覚悟と準備 ” が出来ていないことの証であり、民主党の支持者にも少なからぬ不安を与えたのである。
そして今回の党首選では、早々と無投票決着を決めた民主党が、ド派手な総裁選に話題をさらわれるという “ 凡ミス ” に至った。
党首選を行わなかったことで、民主党には “ 党首選を行えない事情 ” があるのではないかという憶測も広がっている。
つまり、党内の不協和音は限界に達していて、いま党首選を行えばそれが明るみに出て、一気に空中分解してしまうのではないかという恐れだ。
党首選が行われていれば、有力な対抗馬となっていたはずの 野田 佳彦 議員 は、以前、民主党について 『 ホップ、ステップ、肉離れ 』 と評した。
助走の勢いは良いのだが、着地に失敗する “ 三段跳び ” みたいなもので、やや自虐的ではあるけれど、民主党の実態を如実に表した名言だ。
党内結束の弱さや、ミスが多い諸事情は、彼らが 「 自分の野心に夢中で、周りが見えていない 」 ためで、政権担当能力となると、どうにも疑わしい。
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