| 2009年02月14日(土) |
海外赴任で成功する人、失敗する人 |
「 ビジネスの世界において、人は2種類のコインで支払いを受ける。
現金と経験だ。 まず経験を取れ。 現金は後からついてくる 」
ハロルド・ジェニーン ( イギリス生まれのアメリカ企業家 )
In the business world, everyone is paid in two coins : cash and experience. Take the experience first ; the cash will come later.
Harold Geneen
渡米したついでに、現地で働いている商社勤務時代の後輩と会った。
家族で赴任して3年目、その前はイギリスに4年ほど駐在している。
数年前、最初の海外赴任が決まった折、「 現地での心得 」 について尋ねられたので、色々と相談に乗ったが、その後、上手くやっているようだ。
海外で働く際、まず最初に不安を感じるのが 「 言葉の障壁 」 で、彼自身はもとより、家族が不自由しないだろうかと、かなり気をもんでいた。
英語圏の場合、「 明日から英語で話さなければならない 」 のだが、視点を変えて、「 英語が通じるのだから、なんとかなる 」 と思えば、気楽になる。
中学、高校、大学と、かなり長い時間をかけて英語を学んでいるわけだし、日常生活の中でも、無意識のうちに英語と接する機会は多いはずだ。
スワヒリ語やら、タガログ語など、耳慣れない言葉を公用語にしている国に行くことを思えば、ずっと楽であることを認識しなければならない。
職場では、自分が 「 外人 」、「 よそ者 」 であることを頭の片隅に置いて、現地のスタッフと、上手にコミュニケーションを保つ必要がある。
日系企業で働く現地の人々は、3〜4年の任期で本社から派遣されてきた 「 日本から来た外国人 」 を、ある種の猜疑心をもって眺めやすい。
具体的に言うと、そうした日本人は現地に骨を埋める気などなく、帰国後の出世やキャリアにしか興味がないのだろうと、軽く見られているのだ。
事実、海外勤務が出世の登竜門みたいになっている会社も多く、現地法人の繁栄よりも、本社からの個人評価が気になって仕方のない社員も多い。
現地の外国人スタッフは、そういった “ 本社向けの姿勢 ” に敏感で、概ね気に入らず、それが原因で孤立する例は珍しくない。
自分の仕事に、誇りや情熱を抱くのは立派だが、功名心の強すぎる人は、職務能力でなく、地位やキャリアを 「 自分の仕事 」 と錯覚しやすい。
海外赴任が決まり、自分は 「 選ばれた人間 」 なのだというエリート意識が芽生え、ますます、本来の仕事よりも “ 評価 ” を気にする人もいる。
そのあたりは、やる気を引き出す策として、意図的な企業側の計算もあるのだが、人によっては効果が大きすぎて、裏目に出ることもあるようだ。
昔から 「 郷に入れば郷に従え 」 という格言もあるように、遠く離れた本社の目など気にせず、現在の居場所で、最善を尽くすことが望ましい。
良い仕事をして、現地の仲間から信頼、尊敬されることは、出世や昇給に直結しないが、仕事に対する情熱や自信を持てる、大きな経験になる。
仕事以外では、特に、家族への配慮や、いたわりについて、日本で暮らす場合よりも、数倍の気遣いを示すことが肝要となるだろう。
現地に日本人学校があればよいが、アメリカのパブリックスクールなどは、かなり教育レベルが低いので、子供連れの赴任では気になるところだ。
奥さんが外国暮らしに馴染めず、うつ病などの精神疾患に陥って、それが原因で任期満了まで赴任できず、やむなく帰国したという例もある。
前述した “ 出世欲の塊 ” みたいな人は、外国に馴染めない奥さんに対し、「 お前のせいで、俺は出世できなかった 」 と責め、怒りをぶつける。
奥さんからみれば、自分は 「 出世欲の強い旦那の犠牲者 」 であり、むしろ慰謝料を請求したい心境であることが多く、家庭不和は避けられない。
要約すると、�� 海外赴任は貴重な経験なので、積極的に引き受けるべし、�� 現地では現地のための仕事をする、�� 家族の協力に感謝し配慮する。
この3点を守った人は、概ね、海外赴任を成功させており、帰国後も要職に就いて、その経験を役立てながら、溌剌と活躍している。
逆に、出世を目論んで海外赴任をしたものの、職場でも、家庭でも孤立し、満足な成果を挙げられず、帰国後も精彩を欠く 「 最悪 」 の事例もある。
社員や、その家族を海外へ赴任させるには、相応の経費が掛かるわけで、命ぜられた人々が、「 期待された人材 」 であることは間違いない。
だからこそ、成功させねばならないのだが、上手くいきすぎると私の後輩のように、なかなか帰れぬ 「 浦島 太郎 」 状態に陥る宿命も背負っている。
|