○プラシーヴォ○
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テレビのチャンネルを変えると、時代劇をやっていた。
女の人が、見るからに悪そうな男の人に 無理矢理「薬屋」という看板がついた 家へひきずりこまれていた。
それは堕胎手術だった。 初老の男性が、大きな耳掻きみたいな道具を持ってきて 女性に布を巻いた箸を噛ませる。 男性が足元に下がると 女性が箸を咥えたままうめく 汗をかく
江戸時代に存在したんだ。 設備も満足でない時代に、 いったい女性はどれだけの苦痛を 味わったのだろう。
ほんの十数秒のシーンだったのに、私は気を失いそうになった。
いつ、誰が気付いてしまったんだろう。 生まれていない子供を 外に出せるだなんて。
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