○プラシーヴォ○
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何年かぶりに風邪をひいた
仕事中、顔がぼうっと熱くなって 寒気で震えがとまらなくなった
早退して、布団を三枚かけて セーターを着て 電気アンカを足元に置いて
それでも寒気がとまらなくて ぶるぶる震えているとハム男から電話
「風邪?大丈夫?」
「うん…なんとか」
「早く治して明日には仕事にいけるようにしろよ 新しい店に入ったばっかりなんだから 迷惑かけるわけにもいかないだろ」
ハム男なりの励ましだったのかもしれない
ハム男なりの善意の言葉だったのかもしれない
でも
新しい店 新しい環境 で
コップに満タンに入れた水が 半円を描いてぷるぷる表面張力で保たれているように
ストレスが極限だった私には (採用されてから10日間、店の都合で 休みなしでぶっとおしで働かされて 次の日が休みだったから 風邪をひいてしまったのかもしれない)
あまりにも辛い言葉で
嘘でも
「体調が完全になるまで 休めばいいよ」
って言って欲しかった
それが昨日のこと
今日、たまたま休みをもらっていたので 心おきなく休めた
そして、ハム男から電話
「あ、あのね体調は大分いいんだけど たまたま今日休みでね だから、あのずっと寝てたの」
怒られる前に慌てて言い訳する子供のように 私はまくし立てた
「そっか、明日は寒いらしいからな 暖かくして働きに行けよ」
ハム男がそう言ったから
まだね、体調悪くて 寒気が取れなくて 頭が痛いの
という私の現状報告は喉の奥へ引っ込んだ
「がちゃ子、定休日は? …そっか、決まってないのか 今週は?日曜日は休みじゃないのか? そっかあ、ちょうど良かった 俺日曜日サッカーだったからさ」
ハム男の予定に私が邪魔にならなくて
『ちょうどよかった』
お母さんの
「もう、明日休みなさい そんなしんどそうな顔して」
という言葉と レモン味のお薬だけが
私を元気にしてくれる
いらない
今私を少しでも辛くするものは
見たくない 聞きたくない
会いたくない
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