○プラシーヴォ○
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何かのテレビを見ていてハム男が
『俺の嫌いなところ、言ってみて』
と、おもむろに言い出した
いいの??
今まで、ハム男を嫌いにならないように 怒りすぎないように キライなところを封印してきたけれど
言っていいの???
ええっとええっと
あまりの私の興奮ぶりに ハム男がビビり、
「え?あの… あんまりシビアなやつはちょっと…
おならが臭いとか そういう可愛いやつにして…」
あ、そうだ
ハム男はさ、 自分で自分のことを “あんまり怒らない気が長い男”とか 言ってるけどさ、
それは怒らないんじゃなくて 深く考えようとしてないだけなんだよね
私が何かを不満に思ってても それが消えてなくなるまで見て見ぬフリをするでしょ
私が文句をいうのに腹がたつんなら そう言えばいいじゃない
ハム男はことなかれ主義すぎるよ
ハム男ぽかん
「確かに、気が長いとはよく言われるけど
そんな説明されたの初めて…」
さ、さあ!
私の嫌いなところを言えば??
「がちゃ子は怒りんぼ!」
それだけ?
ウン、とうなずいて ハム男がチュウしてくる
私がお風呂に入ろうとしたら タオルを差し出してくれたんだけど なんか黒いブツブツがいっぱいついてて
「また、カビだらけのバスタオルを わざと私に渡そうとしてる」
と言うと
すっごく悲しそうな顔をしてた
「え? あ、本当だ、カビ…
でも、でも、わざとじゃないよ
ひどいよ、がちゃ子」
笑ってたけど
本当はこういう小さい傷を 私はハム男にいっぱいつけてきたかも
ハム男の笑顔に甘えて 無神経だったのは 私の方かも
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