○プラシーヴォ○
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イカメンくんがよそよそしいにも程がある。
私が、スタッフルームで本を読んでいると、 スッと、隣の倉庫みたいな皆が休憩する場所に行ってしまい、 私がそっちにいくと スタッフルームに戻ってパソコンをする
なんなにょーーー! なんなにょよーーー!(丿>ロ<)丿
そんなに私嫌い?
っつーか、私といるの苦痛??
なんとかしてコミュニケーションを! と思い、マッサージの練習をさせてもらうことにした。
足を揉んでいるあいだ、 仰向けのままで本を読むイカメンくん。 (今日は朝から、ずうっとこの本を読んでいる)
悲しいよう(*ノ_<*)
私と、しゃべってほしいのに 無言で黙々と本を読むイカメンくん
それでも、 丹田に気合をいれて あちこち疲れているイカメンくんの体を 全力でほぐす
気がつくと、イカメンくんは本を横に置いて くうくうと寝息を立てていた
足だけ揉ませてもらう約束だったけど、 ついでに腕も揉ませてもらう
自分では大きいと思っている手だけど、 イカメンくんの手はさらに大きくて、 そうっと手を合わせると、 私の手や指はまるでおもちゃのように小さく、細く見える
指の間に指を入れて、 手首を回すストレッチ
ああこれが、マッサージじゃなかったら 普通に、こんな風に指を重ねられる間柄だったら
このまま、仰向けのイカメンくんの腕に くるまれたら
私はそのまま シュン、と消えてなくなっちゃってもいいなあと 本気で思った
ねえ、妻子もちのイカメンくん
好きになってくれなんていわないから せめて嫌わないで
スタッフちゃんの方が、面白い話をいっぱいできて 屈託なくあなたに甘えられて 一緒にいて楽しいだろうことは分かってる
きっとあなたは、 スタッフちゃんといる時は、 こんな風に1人で本を読んだりしないでしょう?
スタッフちゃんといるあなたは もっと目がきらきらしてるもの
私は口ベタで、 面白い話もしてあげられないけど 避けないで
傍に、いて
私は無愛想で ニコニコできないけど あなたがいてくれて嬉しいから どこへも行かないで
イカメンくんが、ふと起きて、
ちょっと、下のパン屋に行ってきます
とスタスタと出て行ってしまった
どこまで私を避けたいのかと バクバクする胸を押さえつつ 泣きたいのを我慢してると
これ、好きなのどうぞ
ごそっと、パンの入った袋を私の前に置く
俺あんま腹へってないから 全部食べてもいいよ
全部??
とりあえず、 クロワッサンの上にクッキー生地がのったパンを食べる
・・・おいしいです
おいしいでしょう、 最近発見したんスよ
と、笑いながら自分もパンをほうばるイカメンくん
そのままやっぱり本を読み出して 私と話をしてはくれなかったけど ぺこぺこだったお腹に、クロワッサンがしゅんと沁みた
この人には子供も奥さんもいるんだぞと 改めて自分の頭をぽこぽこ殴る
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