2002年07月09日(火) |
白い犬とワルツを テリー・ケイ |
兼武進 訳 新潮文庫 (1990) 1998
STORY: 最愛の妻コウラを亡くした夫サムは、子供たちと孫・ひ孫たちに囲まれ、最期のときを不思議な白い犬とともに過ごす。
感想: 何と言うか、淡々とした中にほのぼのとした、というか、しんみりしたというか、とにかく老後、老いていくということを考えさせられた本である。お涙頂戴物とは違い、読んでいて涙が出るということもなかったのだが、あとに残るものは何ともいえない感情である。
それにしても、伴侶というものについて考えさせられる。どうも物語の回想から考えるに、サムとコウラの出会いは友達がサムのためにコウラに声をかけてくれたことであり、この2人は出会ってすぐに結婚を決めた。結婚後は子供たちにも恵まれ、仕事上でも成功している。もちろん人生の途中で色々あったとは思うし、息子を一人、交通事故で亡くしたりもしているわけだが、この最期の時、妻との思い出を回想しつつ、老いという現実を受け入れていくサムの様子は何というか本当に幸せな姿のような気がした。
自分もこのように老後を送れるだろうか。とにもかくにも、このように最愛の伴侶に恵まれ、(先立たれはしたが)幸せな最期を送れるというのはとてもうらやましいような気がした。
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