| 2016年07月09日(土) |
羊と鋼の森 宮下奈都 |
  宮下奈都 文藝春秋 2015
STORY: 高校2年生のある日、ピアノを調律するために学校にやって来ていた板鳥の調律する姿を見て、突然調律師になりたいと思った外村。彼は専門学校に入り、調律師として板鳥の職場に入社するが…。
感想: 本屋大賞を受賞したというこの作品。もう少しエンターテインメント性があるのかな?と思っていたら、そうでもなく、思ったよりも地味で、この本が本屋大賞を取ったということが意外な気がした。
とはいえ、私は音楽が好きで、ピアノもまあ弾くし、ほかの楽器もするので、音楽を扱う作品自体は好きだし、調律の奥深い世界を知ることができて、面白く読むことができた。
取り立てて大きな事件が起こるわけでもなく、外村が悩みながらも調律の仕事に向き合っていく様子が描かれている。
外村は北海道の山奥の生まれで、もともとクラシック音楽とも縁遠く、全く楽器のこともわからない素人であったが、なぜか板鳥の調律する姿を見て、調律師になろうと思う。
そんなこと、あるのかなーともちょっと思ったけれど、まあ、それを言ったら物語が始まらない。
そんなわけで、自分はピアノのこともクラシックのこともわからないという劣等感みたいなものが常に潜んでいる。
そんな外村が悩みながらも前に進んでいく様子がじわじわと描かれているこの作品。
こういうのが、本屋大賞に選ばれるのだなー。
私はあんまり本屋大賞のことはよくわからないし、毎年どういう作品が選ばれるかもわからないけれど、読書好きな人は決して派手な作品ばかりを好むわけではないのだな…というのがわかって、ちょっと好感が持てたかも。
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