2018年03月07日(水) |
毒母ですが、なにか 山口恵以子 |
山口恵以子 新潮社 2017
STORY: 双子の母となったりつ子は、姑や小姑に虐げられていた。小学校受験の塾に通い始めた日から、りつ子は娘・星良に過度な期待をかけるようになり…。
感想: 最近何かと聞くようになった「毒母」という言葉。これは、子供のことを考えずに自らの希望を子供に押し付けたり、子供の言うことを否定したりする母親のこと。母親の言う通りにしていれば間違いがないと信じており、子供の気持ちなど全くお構いなしなのである。
りつ子は、もとは事故で両親を突然亡くし、愛のない親戚一家に引き取られており、孤独な少女時代を過ごした。親戚一家はお金持ちの裕福な特別意識の強い家で、りつ子は全く安らげることがなかった。
りつ子も結婚した時には、夫と二人で外国に行って愛のある生活をしたかったはずなのだが、選ばれた意識の強い夫の実家に同居したりつ子は、姑たちに認められることがなく、せっかく生まれた子供の男の子・倫太郎は姑に取り上げられるような形に。
倫太郎は愛らしく何でもできるが、あまり外見にも恵まれなかった星良は、りつ子の神経を逆なですることばかり。小学校受験で親戚の鼻を明かそうと思っていたのに、星良はことごとく受験に失敗してしまう。
そのころから、母の星良に対する風当たりはますます強くなり、星良はどんどん萎縮していく。
このあたり、あまりにも星良がかわいそうでならなかった。どうして自分も周りから認められなかったのに、子供を認めて愛して育ててあげられなかったんだろうなーとつい思ってしまう。
しかし、思春期を迎えると、親子関係はどんどん破綻していく。当然のことなのだが。
そんな星良を救ってくれる人がいて、星良は自立をしていく。
これ、モデルの人がいるのかも。誰かアナウンサーだったかタレントだったかで、母からのひどい仕打ちを本にした人がいたような覚えがある。それをモチーフに書いたのかなって後から思った。
さて、自分を省みる。星良の環境をかわいそうだなと思い、助けてあげたいと思う自分がいるが、では、自分の子供に対してはどうなのだろうか?
多かれ少なかれ、育児をしていれば、子供を自分の思い通りに動かそうと思う時がないわけではないと思う。時には子供のことを全否定したりもしているのかもしれないと反省する。
とりあえず自分はこのような毒母にならないように気をつけないとなーと思いながら、毎日を過ごそう…。すぐ忘れそうだけど…。
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