教育だとかなんとかいうけれど、そのおおもとにあるのは“つないでゆく”ことなんだ。 子どもの心と私の心をつなぐということ。それなくしては何も伝わらないし、私には何もできない。私のほうに心が向いて私の言葉を受け入れようとするとき、初めて何かを教えるということが始まる。そういう状態になっていなければ何をやってもまったく無駄なんだ。 教師に対する不信感をあらわにする子がいる。 これまで教師とどんなことがあったのかはわからないけれど、とにかく、初対面から私に顔を向けない。私の言葉をさえぎり「関係ねーよ」と言う。 まったく私を拒絶したこの状態から心をこちらに向けさせるのは本当に骨の折れることだ。
がんがんと子どもは抵抗してくるけれど、そこで距離を置いては関係は決して近づかない。 相手を受け入れ、決して感情的にならないようにしながら、もう一歩ふみこむ。 接近戦では当然こちらのダメージも大きいからきつい。 「そこまで許せるほど私は大人じゃないよ」とへこむ。 だけど、ここで拒絶したら元の木阿弥。また、もとの冷え切った関係に逆戻りだ。 自分の精神力とのギリギリの戦い。 正解なんてわからない。ただ、やるしかない。
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