ものかき部

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「 I'nt need it, so for that 」
2004年05月18日(火)



 解ってはいるさ
 判ってはいる
 安心を拒絶した途端、生ぬるい夏の海水のように腋(わき)の下へとの浸透が
 それらが暗紅色に混ざり合いながら、左側をチクリ、と刺し続けることすらも

 絡(から)め獲られ、せめて粘々(ねばねば)なカラメルのように唇を噤(つぐ)むしかないことも
 目の前を色んな質草が飛び交っている。
 嗚呼、結婚もあったんだっけな、子供も造れるんだっけな、ゲームも音楽も映画も、曇天、透けるほどの勿忘草(わすれなぐさ)色の空すらも
 1個1個がカプセルの中に入って、ゥヨォ〜ン、ウヨォ〜ン、と長い8の字を描いて飛んでいる

 くだらねぇ、という反抗心も、消え去れ!、という激昂も、天才だ、という自賛もカプセルに詰め込もうとした。
 カプセルの大群の先はある、先はない、両方ともいえない、答えが要らぬという自己陶酔に惑わされながら、
 乾いた口腔の沈黙しか、痛む心臓は欲していない。

執筆者:藤崎 道雪

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