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「 気も漫(そぞ)ろ 」
2005年06月02日(木)



 気も漫ろ
 空も漫ろで、大雨前の静かな曇り空

 なんだかだるさが残るが、それも昨夜の小さなホテルのレストランで食べた余韻なのかもしれない。
 野菜ジュースを2缶キューっと飲むと、腹に何とも言えずググッと貯まって元気が出てきた。
 そうそう、だるさの原因は、朝起きた時に右の奥歯の親知らずが鈍く痛かったからだ。
 歯肉がはげてきて外側からめくれているので、歯磨き以外に楊枝がいるようになり、気が付くと舌で歯列を超えて撫でている。舌では取れないほどの溝になってしまっているのに。もう、癖だ。これがほんとの口癖だw
 その小さなホテルのレストランは、ハーブのチキンが抜群に旨い。1200円で4分の1程を出してくれ、皮がかすかにパリっとして抑え目なハーブの品がいい。肉を食べたくなると、そこのチキンを思い出している。白いソファー生地の椅子も背もたれが傾き、店内がホワイトで統一されていて、キッチンが客席と同じくらい占めている。レンガ造りの大きな窓からは階下に歩く自然な姿が目に入ってくる。店内で満席になったことは無かったが、お昼は並ぶほどだと言う。夜に行くとショットバーのように暗すぎず、かといって居酒屋のように猥雑でもなく、コンビニのように不健康な明るさではない、ほっとする光量に懐かしさを覚えてしまう。そんな世界で、鼻をくすぐる仄(ほの)かなチキンの旨みとハーブの僅(わず)かながらの、ツン、とする香り。
 
 午後4時を回る大部屋の外で、しとしとと葉を伝う灰色の雨ももう少し日暮れに掛かれば、
 ほっとする光量になりそうだ。
 
 気も漫ろ
 空も漫ろで、大雨前の静かな曇り空

執筆者:藤崎 道雪

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