また、人生の一部を切り売りしてしまった。
また、この肉体が老化していった。
また、この精神の中にシースノーが降り積もった。
まただ。
こうして過ぎ去っていった時間が取り返せない。
こうして追い去っていった肉体も取り戻せない。
こうして積み重なっていった末那識を振り払えない。
まただ。
愛しているよ、君を愛している。この世で今まで出会った人の中で、誰とも比較できないくらい愛しているよ。
ありがとう、本当にありがとう。この世でこんなに幸せな人間はいない。皆さんのお陰です。
呪いの言葉に変えたって、空の清浄な境地に置き換えたって、またの繰り返し。
いやいや、時間すらも超越する、といううたい文句だったな。ならば何よりも速いのだ。
錯覚よ、私は貴方に感謝します。
錯誤よ、信仰よ、前提の絶対化よ、論拠の絶対化よ、結論の絶対化よ、私は貴方方に感謝いたします。
左手と右手を合わせて叩き、それでも音が鳴らないのを知っているからなのです。
感謝です。笑いです。快活に智慧なのです。
まただ、とはもう言わない方々と一緒にるのが楽になるのですね。
もう分ってしまったのですよ。もう判ってしまったのですから、解ってしまったのです。
まただ。ありがとう。
ありがとう。まただ。
執筆者:藤崎 道雪