じっとしている
じっと身を留めている
じっと身の内で氷が壊れていくような悪寒にどうしようもなく耐えている
何もしてこなかった
何も心を留めてこなかった
何も心の内で規則正しくも礼儀正しくも良心に正しくも耐えられなかった
どうしようもない
金銭も異性も権力も、そして最後に残った名誉でさえも永劫の時から比べれば、何と虚しい
そこから出発して活力を得ようとも、最後にたどり着く先はどこに違いがあるというんだ
生命の本能に従って種の世代交代に参加しても、性別の本能に従って愛情の獲得に参加しても、自我の本能に従って修行の鍛錬に参加しても、原初の本能に従って堕落の充満に参加しても、集団の本能の従って社会の獲得に参加しても、全てに参加しても尚、何と虚しい
それぞれに参加している者々からすれば弱者のいい訳に過ぎないこの虚しさと言い切った時もあったのに、次から次へと止め処なく流星のように降り注ぐ肉体的な死
もうこの私の人生の到着駅は決められている
もうこの肉の終生の終着駅は決められている
もうこの心の生涯の終結点は決められている
判ってしまったからこその極寒の中の悪寒なのだろう
ホワイトアウトのブリザードになれば、やっと眠気に身を任せる時がやってくるのだろう
明らめの時がやってくるのだろう