本当にそんなものが欲しかったのか
いとおしい人とゴロゴロと天井を微笑み合う
本当にそんなものが欲しかったのか
たおやかな風とコロコロな草村を転がり合う
本当にそんなものが欲しかったのか
煌びやかな物でゴテゴテと四肢まで飾り合う
本当にそんなものが欲しかったのか
押し潰した色でコンコンと世界まで止め合う
本当にあなたはそんなものが欲しかったのか
本当に 本当に
ゴシゴシと洗い流せない闇夜が絶望的に遠いから
本当に 本当に
注記:「frequency(フリークエンシー) 広告の到達度。視聴者が広告に接触した回数。」
広告の意味を世間的価値一般に押し広げたのが詩の内容。現代人が「欲しい」と欲しているのは、単に接したからに過ぎないのではないか。恋人も家族愛も装飾も宗教的精神世界も。その奥に隠された何かしらに気がつくのは、深夜のまどろみだけ。広告のない闇夜のとき、やっと気がつく。
(転載済)