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「 絶対的自我25 −新美南吉でなくとも参らぬ− 」
2015年12月01日(火)



 新美新吉は言った。

 「私の命は永遠である。なぜなら、作品を後世に残すからだ。」

 本当に後世に名が残るだろうか。

 それを知るすべなどありはしないのに。

 
 病魔の苦しさから、希望という逃避をしたかったに過ぎないのでは?
 
 苦しい病魔から無感覚の死体へと逃避するのは、どうしてなのだろうか。

 
 今を、私を、此処だけを生きる、という思想もまた同じではなかろうか

 肉体の喜びから、希望という逃避をしたかったに過ぎないのでは?

 あふれ出る機能快から永遠の絶無へと逃避するのは、どうしてなのだろうか。

 
 苦しい病魔もあふれ出る機能快も、己が死を無視する根拠になりはしないというのに

 逃避でしかないというのに

 どうしてそのように無視が出来るのだろうか。


 私は弱い

 私は拙い

 むしろ私が逃避している、と人は指を指すかもしれぬ

 
 しかし、直視から目をそらす訳には参らぬ

 私の書いた文章は新美新吉のように全集になって図書館に残らぬ

 私の苦しみは文章に百分の一も残せぬ

 私には何も残せぬ、何もできぬ、何もしてやれぬ

 けれども、その直視から目をそらす訳には参らぬ

 
 それしか出来なくとも、絶対的自我に縛られているとしても、参らぬのは参らぬ。


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