The color of empty sky
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この街は昔から好きだった。 飲み屋とチンピラが多くて、ちょっと田舎臭くて。 君の生まれ育った街だからかも知れないし、縁あって私が今働く街だからかもしれないし。
一軒のバーがあった。 沢山の洋酒に囲まれた上品なマスターのいる、薄暗い小さなバー。 年末年始も休まず営業しており、行く当てのない私たちはそこに流れ着き落ち着いた。 カウンターの上に落ちるスポットライトが、グラスをきらきらと照らす。 舌先を痺れさせながら舐める、まん丸の氷の浮かぶ薄緑色の美しい液体はアブサン。
綺麗な緑だね。 と、その後の言葉の続かないくらいに、ふたりで、私の手の中のグラスの氷の溶ける様を眺めていた。
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